今こそG20が協調し、途上国崩壊を食い止めよ
Now or Never
インドの全国封鎖を前に故郷へ帰ろうとバスターミナルに殺到する人たち(3月28日、ガジアバード) ANUSHREE FADNAVIS-REUTERS
<アフリカやアジア、中南米の村落に広がれば壊滅的結果に──世界は上限なき資金提供という「脱出戦略」をすぐまとめるときだ>
新型コロナウイルス感染症が、世界で猛威を振るっている。だが、各国の対応は猛烈な感染拡大のスピードに追い付いておらず、失われる必要のない多くの命が失われ、他の医療問題は忘れ去られ、社会と経済の両方が壊滅的な打撃を受けようとしている。
そこで筆者3人は4月6日、G20諸国・地域に対し、足並みのそろった対策を直ちに求める公開書簡を発表し、医療、経済、政治、市民社会など幅広い領域のリーダーの賛同を得た。今回の危機が、公衆衛生と経済の両面で史上最悪の惨事に発展するのを防ぐため、80億ドルの拠出を求めている。
2008年の世界金融危機では、G20首脳は連携した対応を見せた。また、過去に津波や内戦で非常事態が生じたときも、多くの国が手を組み、リソース提供に必要な拠出国会議を開いてきた。
今回の新型コロナ危機では、その両方、つまり国際支援を調整するG20の作業部会と、その支援を有効にする拠出国会議が必要とされている。
2008年には、世界的な信用危機に対処することで、目先の経済危機を乗り越えることができた。だが今回の経済危機は、公衆衛生上の非常事態が解決しなければ終わらない。そして公衆衛生上の非常事態は、各国が単独でウイルスと戦っていては終わらない。全ての国がこのパンデミックを克服する必要があるのだ。
確かに新型コロナは、富裕国か否かを問わず、あらゆる国の医療システムを圧迫している。だが、この感染症がアフリカやアジア、中南米の村落にまで広がることを許せば、壊滅的な結果となり、撲滅は難しくなり、別の疾病の流行を引き起こす恐れさえある。
コストを避ければ破滅
この危機に早期に終止符を打つ唯一の方法は、私たちが長年怠ってきたこと、つまり公衆衛生機関と科学機関、そして経済機関への思い切った投資をすることだ。
各国首脳はまず、WHO(世界保健機関)が今年いっぱい最も重要な活動を続けられるように、10億ドル拠出するべきだ。さらに70億ドルを使って、きちんとした診断と治療とワクチンの開発、製造、流通を確保するため、国際的な官民連携機構「感染症流行対策イノベーション連合(CEPI)」をサポートするべきだ。パンデミックに終止符を打つためには、こうした進歩に全ての国がアクセスできるようにすることが、非常に重要だ。
人工呼吸器や防護服、マスクなど、医療物資のニーズを満たす資金も必要だ。既存の生産能力がもたらす医療物資を奪い合うのではなく(それは価格を高騰させるだけだ)、各国が連携して生産能力を拡大し、グローバルな生産と調達を図るべきだ。
実用可能なワクチンが登場した場合は、官民連携団体「Gaviワクチンアライアンス」などを通じて、最貧国にもワクチンが行き渡るようにする必要がある。