アカデミー受賞に沸いた韓国映画界に新型コロナが打撃 ファンは感染パニック映画を自宅観賞
韓国のアカデミー賞「大鐘賞映画祭」が延期に
現在、韓国内で多くのイベントやコンサートが開催延期、もしくは中止を発表しているなか、本来なら今月25日に開かれる予定だった「第56回大鐘賞映画祭」も延期を余儀なくされた。1962年に創設された大鐘賞映画祭は、韓国のアカデミー賞と称されるほど権威のある映画賞と言われている。まだ再開催の日時は公式発表されていないが、関係者の話によると遅くても3月末には行われる予定だ。
大規模感染が始まった大邱地方のある映画館も、すでに無期限休館を発表している。インディーズ映画専門のアート系映画館「55(オオ)劇場」だ。韓国映画界は急成長を見せ、ビジネスとして成り立っているように見えるがそれは商業映画の話で、インディーズ系の映画関係者はどこも同じく苦しい生活を強いられている。韓国は世界的にはインディーズ系映画に対して行政の支援などが行われている方ではあるが、それでも短編映画やインディーズ映画の監督・スタッフらは、撮影の傍らアルバイトなどをしつつ、やっと生計を立てられている状態だ。それでも上映する専門の映画館があることが彼らの創作意欲に繋がっている。この休館期間に上映を予定していた作品もあっただろう。このようなインディーズ業界から、次の韓国映画界を担う第二のポン・ジュノが誕生していくのである。感染の終息とともに、アート系映画館の早期の再開を願わずにいられない。
たしかに映画館は、密閉した空間に数時間滞在し、しかも隣同士席が近いこともあり、感染の拡大にはもってこいの空間だと言える。しかも、今回のように外出すら控えようとしている状態で映画を見に行こうという気持ちにはならないかもしれない。コロナの影響で公開日に影響が出た作品がある。今月5日公開予定だった『The Stolen Princess』は、3月19日に公開が延期され、26日公開予定だった映画『Turu: the wacky hen』は、公開無期限延期となった。両作品とも子供向けアニメーションであるため、子供たちの感染予防に配慮したようだ。
また、公開前から盛大に宣伝していた韓国の大作映画『藁にもすがる獣たち』も、本来なら12日封切予定だったが、1週間延ばし19日に公開変更された。奇しくも変更された公開翌日20日には大邱の大規模感染が発表されてしまい、幸か不幸か公開日変更が逆効果となってしまったが、そのなかでも観客動員数は1位となった。一方、26日から公開予定だった『狩猟の時間』は公開延期を発表した。それと共に、25日のプレス試写及び全ての一般試写、舞台挨拶の中止を公式発表している。また、3月5日公開予定の『潔白』も試写会や出演者へのインタビューのキャンセルを発表、公開日延期も検討している。