今日も市場で生きてるコウモリ販売するインドネシア 新型コロナ感染ゼロの理由とは
鳥市場の奥で販売されているコウモリ 撮影=筆者
<東南アジア各国で感染のニュースが報じられるなか、感染者ゼロが続くインドネシア。その理由とは?>
世界的広がりを続けている新型コロナウイルスによる肺炎だが、2月18日現在、依然として感染者ゼロを続けている東南アジアの大国インドネシア。今回のウイルスの感染の源として中国・武漢の市場で売られていたコウモリなどの野生動物が取り沙汰され、インドネシアをはじめとして周辺国は中国からの家禽類の輸入制限などに踏み切っている。
しかし、首都ジャカルタの市場では現在もコウモリやウサギ、サル、トカゲなどが普通に売られており、市場関係者は「新型肺炎の心配は全くない」と影響がないことを強調している。
ジャカルタ東部にある「プラムカ市場」は医薬品や医療品を主に取り扱う小売店が集まった市場である。そこには空気汚染用から風邪予防まで複数のマスクが山積みにされて販売されている。ジャカルタ市内の一部の小売店でマスクが売り切れ状態になっているとの情報が在留邦人の間などで流れているが、プラムカ市場に限って言えば「品切れなんてない、在庫は山ほどある」(マスク販売業者)という。
生きたコウモリを販売
このプラムカ市場のもう一つの顔は、市場本体のビルの裏に広がる昔ながらの木造2階建ての「鳥市場」である。ありとあらゆる鳥類、スズメからインコ、ハト、ニワトリ、カラスまでが大小の鳥かごに入れられて販売されている。
インドネシア人は籠に入れた鳥の鳴き声を楽しむという伝統的な趣味がある。高い音色で長く朗々と響く鳴き声がよいとされ、そういう鳥は高価に取り引きされる。
鳥市場の中に新型コロナウイルスで話題のコウモリが売っているとの情報を得て訪れたのだが、インコやセキレイを売る店の人に恐る恐る尋ねると「売っているよ」と、アッサリとその売り場まで案内してくれた。
黒布で覆われた暗い籠の中に蠢(うごめ)くものがあり、「これじゃ見えないので写真撮影して確認したい」と、撮影の了解を得て籠の中にカメラを向けてフラッシュ撮影した。
その瞬間暗闇からこちらをにらむコウモリがいた。当然のことながら頭を下にしてぶら下がった状態だった。
店の人によれば値段は1匹50万ルピア(約4000円)で、焼いたり揚げたりするという。ただ食用というより粉末にして漢方薬として飲む人がジャカルタでは多いそうだ。喘息などの呼吸器系の病気に効果があるという。
さらに奥、動物類が主に売られているという一角に行くとサル、ネコ、ウサギ、トカゲ、カメレオンなどが籠の中で買い手を待っていた。ヘビ、クスクス、センザンコウなどは注文販売で、発注すれば1日から1週間で届くという。
そこにもコウモリがいた。こちらは遮蔽物もなく明るい籠の中で頭を下にしてぶら下がっていた。こちらは1匹40万ルピア(約3200円)。この店に案内してくれたインドネシア人は「イスラム教徒は絶対にコウモリを食べない。ただ病気の人が薬として服用するのは問題ない」と話し、決して食用ではないことを強調する。