殺人を強いられた元少女兵たちの消えない烙印
When Young Girls are Forced to Go to War
元少女兵の汚名は結婚の妨げにもなる。マーサは12歳になる前、強制的にLRA司令官の妻にされた。
「25歳になった今でも、まだ『汚れた女』と思われている」と、彼女は嘆く。何人かの女性は町から町へ引っ越しを繰り返し、過去を隠して新しい自分に生まれ変わろうとしたと話す。しかし、噂はすぐに広まる。
同じ武装勢力の戦闘員だった男たちまでが、元メンバーの女性を「傷物」だとして拒否することがよくある。組織にいる間にレイプされ、出産したシングルマザーの場合は、子供たちの存在が過去との決別を困難にする。婚姻関係が経済的安定に不可欠な家父長制社会では、結婚できるかどうかは切実な問題だ。
汚名は子供にも付きまとう。マーサの6歳の娘は学校で「反乱軍」と呼ばれ、他の子供たちから一緒に遊ぶことを拒否される。ジェニファーという少女は学校でいい点数を取っても、「反乱軍の父親に教わった魔法を使ってトップになった」と教師に言われ、成績を取り消された。
親族までも苦しみに追い打ちをかける。ローズの母方の祖父母は、娘が組織から解放され、家に戻ったときに大喜びしたが、孫娘は受け入れようとしなかった。父親が武装勢力のメンバーだったからだ。
元少女兵は粗暴犯や軽犯罪者の餌食にもなりやすい。地域社会の関心が薄く、報復される心配があまりないからだ。コロンビア政府の社会復帰支援機関の職員によると、コロンビア革命軍(FARC)の女性メンバー数人が昨年、地域社会で強い身の危険を感じているとして、政府に特別な保護を要求して認められた。
武装勢力時代とその後の経験から来る心理的な傷も、少女のほうが深刻だ。米国立衛生研究所(NIH)とハーバード大学の研究によると、少女兵は家に戻った後、少年よりも鬱やPTSDを発症しやすい。
無理もない。少女兵はレイプや性的虐待の被害を訴える件数が少年兵よりかなり多い。一方、FARCのような組織でリーダー的役割を任され、一定の男女平等を経験した元少女兵は、伝統的社会の男女の役割意識や偏見への適応に苦労する。
スリランカの反政府武装勢力「タミル・イーラム解放のトラ(LTTE)」から救い出された若い女性向けに、美容教室を開いたヘアサロンの経営者はこう語る。「最初のうちは歩き方も話し方も男のようだった。彼女たちは長い間、女性らしい表現を禁じられていた。でも美容教室を受講した後は振る舞いが変わり、感情を爆発させて泣きだした」