殺人を強いられた元少女兵たちの消えない烙印
When Young Girls are Forced to Go to War
元少女兵の社会復帰を成功させるためには、彼女たちが直面する個々の問題への対処法も考える必要がある。元戦闘員の社会復帰プログラムを主導する国際機関は、女性が実際の戦闘に加わっていた可能性を認めたがらない。その結果、女性向けの取り組みがおろそかになる。
シエラレオネでは武装解除した男性戦闘員に対し、武器の供出と引き換えに教育、職業訓練、就職斡旋サービスを提供するプログラムを実施した。しかし女性については主に補助的要員だったという誤った思い込みのため、大半がプログラムから除外された。この社会復帰プログラムを通じて武装解除された子供の兵士は6845人。そのうち女性はわずか8%だったが、戦闘に関与した女性と少女の割合は最大50%に達していたと推定されている。
少女兵の社会復帰は治安上の課題でもある。彼女たちの支援にもっと力を入れないと、停戦後も長期にわたり社会的不和が悪化し続け、紛争の再燃につながりかねない。
支援の手だては無限にある
専門家によれば、特定の社会階層を執拗に差別や排除の対象にする行為は暴力につながりやすい。カンボジアやルワンダの大虐殺でも、それに先行して特定集団へのレッテル貼り行為があった。
仕事、食料、教育といった基本的ニーズを満たそうとする努力が拒絶されると、彼女たちは自暴自棄になり、生きるために武装勢力に戻り、ひいては社会の治安を悪化させる。
世界にできることはたくさんある。問題を報道するメディア。支援策を出す国際機関。IT企業は将来いい仕事に就けるようにプログラミング教育を提供することができる。
「ウガンダ平和の子供たち」やウォー・チャイルドのようなNPOは、元少年・少女兵への心理的・社会的支援、奨学金、医療支援、職業訓練だけでなく、地域社会への啓蒙活動も行っている。こうした団体に寄付することなら、一般市民にもできる。
世界各地にいるマーサのような元少女兵には、私たちの助けが必要だ。戦争を生き延びることも大変だが、その後の社会的・経済的影響を耐え抜くことも同様に難しい。
<本誌2020年1月28日号掲載>
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【参考記事】解放後も少年兵を苦しめ続ける心の傷と偏見
2020年1月28日号(1月21日発売)は「CIAが読み解くイラン危機」特集。危機の根源は米ソの冷戦構造と米主導のクーデター。衝突を運命づけられた両国と中東の未来は? 元CIA工作員が歴史と戦略から読み解きます。