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中南米

麻薬都市メデジンがスマートシティーに──南米版ルネサンスの軌跡

The Medellín Miracle

2019年12月6日(金)17時20分
デービッド・フリードマン

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新たに設置された巨大な屋外エスカレーターに乗れば山頂までわずか6分だ KAVEH KAZEMI/GETTY IMAGES


ファハルドに代わり市長に就任したアロンソ・サラサルは、丘陵地帯に全長約365メートルの屋外エスカレーターを複数設置し、ロープウエーの駅から遠い貧困地区の住民が利用できるようにした。図書館公園やロープウエーのシステムも拡大、教育・医療制度改革にも引き続き潤沢に予算を割いた。

サラサルは、さまざまな改革に最先端技術を積極的に取り入れた。例えば、大気汚染の原因にもなっていた激しい交通渋滞。メデジン市は2009年までに、交通事故が多発する交差点に計40台のカメラを設置し、1日100万台以上の車のスピード違反、信号無視、無理な車線変更を監視している。

このシステムは、違反車両のナンバープレートを読み取り、違反切符をメールで送付する。おかげで2009年からの5年間で交通違反は80%も減少した。さらに80台のスマートカメラが、渋滞の原因となる事故や車両故障を検知し、警察に通報する。交通量が多いエリア22カ所には電子掲示板が設置され、分刻みで最速ルートが表示されるようになっている。

サラサル時代は、製造業への依存を低下させるため、デジタル経済の育成も進められた。「ルータN」と呼ばれるイノベーション推進地区が設けられ、スタートアップに設立資金や専門家の助言などの支援が提供されている。

市は、これらのスタートアップと大手企業の提携を仲介するとともに、公共事業の入札参加資格を緩和して、スタートアップが参加しやすくした。サラサルは、市の予算の2%をルータN企業やイノベーション推進措置に割り当てた。そのおかげもあって、現在25カ国の170社以上がメデジンに支店を設置し、この3年間で約4000人の新規雇用をもたらした。

ルネサンスはまだ終わらない

2012年に市長に就任したアニバル・ガバリアは、洪水と地滑り対策に力を入れた。市内の全ての丘に降雨量や川の水位、土壌の湿度、そして土壌の動きを監視するセンサーを設置して、洪水や土砂崩れの早期警報を出せるようにした。危険地域の住民はスマートフォンのアプリで、もっと詳細なデータや写真をチェックできるようになった。こうしたデータは、排水溝の設置計画にも活用されている。

これまでWi-Fiのアクセスがない地区の住民は、こうしたデジタル革命の恩恵を享受できずにいた。そこで市は公共Wi-Fiゾーンを150カ所設置するとともに、市内500カ所以上に無料で使えるコンピューターを設置。さらに、インターネット教育センターを48カ所開設して、住民が無料でパソコン講習を受けられるようにした。

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