最新記事

中国

中国でホッキョクグマ並みの巨大ブタが飼養されるようになった

2019年10月9日(水)18時00分
松岡由希子

こちらは、2015年に中国河北省で撮影された600キロを超える豚 REUTERS

<アフリカ豚コレラ発生で、豚肉の価格が高騰している中国で、体重500キログラムのブタが飼養され、話題になっている......>

中国南部広西チワン族自治区南寧市の畜産農家で、ホッキョクグマと同等の体重500キログラムのブタが飼養され、話題となっている。通信社のブルームバーグが報じた。

この巨大なブタを食用に飼養する畜産農家のホウ氏によると、このブタは南寧市の1ヶ月の平均可処分所得の3倍を超える1万元(約15万円)以上で売れるという。


アフリカ豚コレラ発生で、豚肉の価格が高騰

中国は、世界で最も豚肉の消費量が多く、世界最大の養豚国でもある。2018年8月に中国北東部遼寧省で豚およびイノシシの熱性伝染病「アフリカ豚コレラ(ASF)」の発生が初めて確認されて以降、その感染が広がり、中国の養豚業に深刻な影響を与えている。

中国では、2億5000万頭から3億頭のブタが殺処分されたとみられ、2019年1月から8月までに豚の飼養頭数が半減した。豚肉の供給不足に伴って価格も高騰し、2019年6月には国内の豚肉価格が30%上昇。7月からさらに2倍となり、最高値となる1キロあたり30元(約450円)から33元(約495円)で取引されている

中国の養豚業界では、「大きいほどよい」が広まる

中国の養豚業界では、収益性を高める観点から、中小の畜産農家を中心に「大きいほどよい」という考え方が全土で広まり、ブタが大型化しつつある。ブタの成体の平均体重は125キログラム程度だが、可能なかぎり大きく育てるようとするため、175キログラムから200キログラムに達するものもあるという。中国最大の養豚業者ウェンズ・フードスタッフ・グループ(温氏食品集団股份有限公司)など、大手企業でもこの傾向がみられ、豚の体重を従来よりも14%以上増やそうとしている。

中国政府では、2020年の春節(旧正月)までに通常の供給レベルへ回復させるべく、豚肉の供給不足への対策に乗り出している。胡春華副総理は、2019年9月、畜産が盛んな黄淮海平原地域の山東省・河北省・河南省を視察し、各地方自治体に対して肉豚の生産をできるだけ早く再開するよう促した

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

アングル:またトランプ氏を過小評価、米世論調査の解

ワールド

アングル:南米の環境保護、アマゾンに集中 砂漠や草

ワールド

トランプ氏、FDA長官に外科医マカリー氏指名 過剰

ワールド

トランプ氏、安保副補佐官に元北朝鮮担当ウォン氏を起
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 2
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 3
    「このまま全員死ぬんだ...」巨大な部品が外されたまま飛行機が離陸体勢に...窓から女性が撮影した映像にネット震撼
  • 4
    北朝鮮は、ロシアに派遣した兵士の「生還を望んでい…
  • 5
    「ダイエット成功」3つの戦略...「食事内容」ではな…
  • 6
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 7
    ロシア西部「弾薬庫」への攻撃で起きたのは、戦争が…
  • 8
    クルスク州のロシア軍司令部をウクライナがミサイル…
  • 9
    「何も見えない」...大雨の日に飛行機を着陸させる「…
  • 10
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 3
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査を受けたら...衝撃的な結果に「謎が解けた」
  • 4
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
  • 5
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 6
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 7
    北朝鮮は、ロシアに派遣した兵士の「生還を望んでい…
  • 8
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱…
  • 9
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 10
    メーガン妃が「輝きを失った瞬間」が話題に...その時…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 4
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大き…
  • 5
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 6
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 7
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 8
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
  • 9
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 10
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中