最新記事

北朝鮮

北朝鮮、過去最大級の潜水艦の実力は

North Korea Building What May Be Largest Sub Yet with Multiple Missiles

2019年8月1日(木)15時45分
トム・オコナー

北朝鮮が行った潜水艦発射型弾道ミサイルの発射実験を映し出す韓国ソウルの街頭テレビ(2016年7月9日)  Kim Hong-Ji-REUTERS

<弾道ミサイルの搭載が可能な大型潜水艦を建造したという北朝鮮の発表にアメリカや韓国は戦々恐々>

7月31日に短距離弾道ミサイルの発射実験を行った北朝鮮は、地上発射型の兵器のほかにも、これまでで最大規模の潜水艦を建造している可能性がある。複数のミサイルを搭載し、水中から発射できる。

北朝鮮国営の朝鮮中央通信は7月23日、金正恩朝鮮労働党委員長が「新たに建造した潜水艦」の視察を行ったと報道。同潜水艦は「朝鮮半島の東の作戦水域(日本海)で任務を果たす」もので、「近いうちに配備される」と伝えた。新型潜水艦について憶測が飛び交うなか、韓国国防部は7月31日、国会の委員会で非公開のブリーフィングを行った。

<参考記事>北朝鮮の新造潜水艦は新たな脅威なのか

国会情報委員会の李恵薫委員長は記者団に対して、北朝鮮は3000トン級の潜水艦を建造したと主張しているものの、実際の規模はそれをやや下回るようだと説明。それでも、新型潜水艦は北朝鮮がこれまでに建造した中で最大規模のものであり、潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)を最大3基、搭載できる可能性があると語った。

老朽化が進むソ連製潜水艦の改造型か

韓国聯合ニュースによれば、同国防部はこの新型潜水艦について「(2500トン級の)シンポ型潜水艦よりもやや大きい可能性がある」と分析。北朝鮮の潜水艦部隊は、老朽化が進んでいる旧ソ連製ロメオ型(1800トン級)で構成されており、新型潜水艦はこれを改造したものである可能性があるとも指摘した。

<参考記事>北朝鮮の潜水艦ミサイルが日本にとって危険な理由

北朝鮮は70隻あまりの潜水艦を保有していると推定されている(保有数ではアメリカを上回る可能性がある)。だがその多くは冷戦時代にソ連と中国でつくられたもので、任務に耐えられるかどうか疑問視されている。冷戦で米韓を中心とする連合に対抗し、北朝鮮を支援したソ連と中国は、冷戦終結後も同国への支援を続けてきた。

北朝鮮は、ソ連が崩壊した頃に最大10隻のゴルフ2型潜水艦(排水量2800トン超)をはじめとする装備を予備として買ったと報じられているが、これらが実際に配備されたことがあるかどうかは不明だ。2017年に撮影された衛星写真には、北朝鮮が咸鏡南道新浦の造船所で大型潜水艦を建造しているらしい様子が映っていた。韓国の野党・自由韓国党のある議員は2018年、国防筋から聞いた話として、北朝鮮がSLBM最大3基を搭載可能な新型潜水艦の開発を行っていると主張していた。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

英仏・ウクライナの軍トップ、数日内に会合へ=英報道

ビジネス

米国株式市場=S&P500・ダウ反発、大幅安から切

ビジネス

米利下げ時期「物価動向次第」、関税の影響懸念=リッ

ワールド

再送-日鉄副会長、4月1日に米商務長官と面会=報道
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 2
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者が警鐘【最新研究】
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 5
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 6
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 7
    3500年前の粘土板の「くさび形文字」を解読...「意外…
  • 8
    メーガン妃のパスタ料理が賛否両論...「イタリアのお…
  • 9
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 10
    なぜ「猛毒の魚」を大量に...アメリカ先住民がトゲの…
  • 1
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き詰った「時代遅れ企業」の行く末は?【アニメで解説】
  • 2
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 3
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 4
    【独占】テスラ株急落で大口投資家が本誌に激白「取…
  • 5
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 6
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 7
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 8
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 9
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 10
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジ…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中