最新記事

米大統領選2020

2020年米大統領選、民主党の急進左派に「共倒れ」懸念

2019年8月19日(月)10時41分

米民主党で人気がある急進左派の2人、 エリザベス・ウォーレンとバーニー・サンダース両上院議員に、大統領選の候補者指名争いで票を奪い合う懸念が広がっている。写真は討論会で話すサンダース氏(左)とウォーレン氏。7月30日、ミシガン州デトロイトで撮影(2019年 ロイター/Lucas Jackson)

2020年秋の米大統領選に向け、野党・民主党は来年2月に最初の党員集会をアイオワ州で開く。指名獲得を目指すエリザベス・ウォーレンとバーニー・サンダースの両上院議員が先週、同州を訪問すると、集まった人々に歓声で迎えられた。

この急進左派候補2人は親密で、すべての米国民への一律の医療保険適用や金融業界批判を提示している。また、最低賃金引き上げなど多くの共通する政策を掲げている。陣営はともに結束が固く、資金も豊富だ。

そして一部の有権者には、ある疑問も浮かんでいる。人気がある急進左派の2人がこのままアイオワ州、あるいは全米で共存しながら選挙戦を続けて行けるのか、別の言い方をするなら、2人が左派票を奪い合い、結局はバイデン前副大統領のような中道派を利する恐れはないのか、という疑問だ。

バージニア州から来たウォーレン氏の支持者、シャーマ・マザーさん(50)は「当然私もそれを心配している」と語った。

アイオワ州の党員集会までまだ半年近くあり、指名争いの行方は見えないものの、世論調査では常にバイデン氏が首位に立ち、サンダース氏もしくはウォーレン氏が2番手につける。

2人の支持を合わせればバイデン氏を上回る計算で、急進左派が主張するように、民主党が左傾化しつつあることを浮き彫りにしている。ウォーレン氏を支持する団体「進歩主義的な変化を目指す運動委員会(PCCC)」の共同創設者、アダム・グリーン氏は「2人がコンビを組んで指名争いの舞台を引っ張っている」と指摘する。

2人は互いにライバルではなく友人だと主張し、今のところ相手を攻撃して政治的な得点を稼がないという約束を守っている。

それでもアイオワ州では、ウォーレン氏がサンダース氏の長年にわたる支持層の一部を取り込もうとしていることを示す兆候がある。モンマス大学の最近の調査によると、同州の民主党員のウォーレン氏支持率は21%と、バイデン氏の28%に次ぐ高さで、サンダース氏は9%に低下した。

サンダース氏陣営は12日、この調査について、同氏の支持層のサンプルが過小になっている欠陥があるとの見方を示した。

サンダース氏の姿を見ようと、アイオワ州に来たアレクシス・ジョンソンさん(33)は、トランプ大統領を倒すことが最優先だと語りつつ、ウォーレン氏にはほとんど興味を示さず「バイデン氏かサンダース氏かの選択になる。そして私が投票するのはサンダース氏だ」と断言した。

一方、同州の住民でサンダース氏を支持するミスティ・コーネリアスさん(38)は、ウォーレン氏の方がトランプ氏の対抗馬としてふわさしいかもしれないと考えている。既に特定の色がついたサンダース氏よりも、ウォーレン氏は新鮮味があるという。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、北朝鮮の金総書記と「コミュニケーション

ビジネス

現代自、米ディーラーに値上げの可能性を通告 トラン

ビジネス

FRB当局者、金利巡り慎重姿勢 関税措置で物価上振

ビジネス

再送-インタビュー:トランプ関税、国内企業に痛手な
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 2
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者が警鐘【最新研究】
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 5
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 6
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 7
    3500年前の粘土板の「くさび形文字」を解読...「意外…
  • 8
    メーガン妃のパスタ料理が賛否両論...「イタリアのお…
  • 9
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 10
    なぜ「猛毒の魚」を大量に...アメリカ先住民がトゲの…
  • 1
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き詰った「時代遅れ企業」の行く末は?【アニメで解説】
  • 2
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 3
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 4
    【独占】テスラ株急落で大口投資家が本誌に激白「取…
  • 5
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 6
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 7
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 8
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 9
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 10
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジ…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中