最新記事

米中関係

中国外務省、米ポンペオ国務長官を目の敵に 「うそと偽りに満ちている」と異例の批判

2019年6月19日(水)09時06分

中国は、ポンペオ米国務長官を摩擦を激化させている元凶として「目の敵」にしている。写真は2018年6月、北京を訪問したポンペオ氏(2019年 ロイター/Jason Lee)

中国は、ポンペオ米国務長官を摩擦を激化させている元凶として「目の敵」にしている。
通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)から中国の人権問題に至るまでさまざまな同国批判を展開するポンペオ氏は、中国国営メディアから繰り返したたかれているだけでなく、中国外務省さえも個人攻撃するありさまだ。同省の報道官は10日の定例会見でポンペオ氏を名指しして「うそつき」呼ばわりするという、外交慣例に反する異例の振る舞いに及んだ。

ポンペオ氏が北極圏における中国の行動に警告を与えたり、習近平国家主席が打ち出した巨大経済圏構想の一帯一路政策には注意すべきだと発言していることも、中国の怒りの源だ。

こうした中で外務省の報道官は10日、記者団を前にポンペオ氏がスイスのメディアのインタビューでファーウェイを批判したことに触れて「ポンペオ氏はこのところ行く先々で中国を話題にしているが、残念ながら彼の発言はうそと偽りに満ちている。ポンペオ氏は明白な真実を理解すべきで、うわさをあさって不和の種をまくような中傷キャンペーンはご自分と米国の信頼を一層損なうだけだ」と切り捨てた。

ある中国政府高官はロイターに、外務省が世界に情報発信する主な舞台としている定例会見でポンペオ氏の個人名を挙げて非難するようなこうした行為は、非常にまれなことを認めた。

中国共産党機関紙、人民日報系で国際ニュースを報じる環球時報も先月、ポンペオ氏をことさら不協和音をつくり出そうとする「ゴシップ好きの女性」になぞらえただけでなく、今月12日には「ギャングのやり方」で「容赦がなく理不尽」とこきおろした。

別の中国政府高官は、同国がポンペオ氏を好まない理由はシンプルで同氏が「冷戦の闘士」だからだと述べた。中国政府はしばしば、米国側に「冷戦思考」を捨てるよう呼び掛けている。

一方、米国務省のある高官は、ポンペオ氏が名指しで批判されたことについての質問に「われわれは中国共産党の政治宣伝にはコメントしない」と突き放した。

ある外交筋はロイターに、中国は米国務省から発せられるより強硬な姿勢がトランプ大統領の考えを体現しているのかどうかを判断するため、特に今月末の20カ国・地域首脳会議(G20大阪サミット)を前にさまざまな探りを入れるかもしれないとの見方を示した。

[北京 ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2019トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

20241126issue_cover150.png
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2024年11月26日号(11月19日発売)は「超解説 トランプ2.0」特集。電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること。[PLUS]驚きの閣僚リスト/分野別米投資ガイド

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

COP29、会期延長 途上国支援案で合意できず

ワールド

米、NYマンハッタンの「渋滞税」承認 1月5日から

ワールド

トランプ氏、農務長官にロフラー氏起用の見通し 陣営

ワールド

ロシア新型中距離弾、実戦下での試験継続 即時使用可
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 2
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 3
    北朝鮮は、ロシアに派遣した兵士の「生還を望んでいない」の証言...「不都合な真実」見てしまった軍人の運命
  • 4
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 5
    ロシア西部「弾薬庫」への攻撃で起きたのは、戦争が…
  • 6
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」…
  • 7
    「このまま全員死ぬんだ...」巨大な部品が外されたま…
  • 8
    プーチンはもう2週間行方不明!? クレムリン公式「動…
  • 9
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱…
  • 10
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 3
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査を受けたら...衝撃的な結果に「謎が解けた」
  • 4
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 5
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
  • 6
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 7
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 8
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 9
    クルスク州の戦場はロシア兵の「肉挽き機」に...ロシ…
  • 10
    沖縄ではマーガリンを「バター」と呼び、味噌汁はも…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 4
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大き…
  • 5
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 6
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 7
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 8
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 9
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
  • 10
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中