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ニューズウィークが見た「平成」1989-2019

平成は日本人に「無常」を教えた──バブル崩壊から原発事故、そして次の「非常識」

The Lesson of Impermanence

2019年2月14日(木)11時30分
長岡義博(本誌編集長)

平成の終わりを前に、日本人が「無常」の教訓を学んだかどうかは心もとない。米ビジネスウィーク誌がまとめたデータによれば、世界企業の時価総額ランキングで平成元年には上位50社のうち32社を日本企業が占めていた。ところが平成30年に残っていたのはトヨタ1社。「環境に適応できたものだけが生き残る」というダーウィンの進化論原則のまたとない好例だが、少なからぬ日本人が今でもかつての「ものづくり」の栄光にしがみついている。

平成に戦争は起きなかった。GDPはアメリカに大きく離され中国にも抜かれたが、かつてはサービス残業が当然だったのに、今は働き方改革を真面目に議論しつつ世界第3位の経済力を維持している。悪くない現状のように思える。しかし、その実われわれは過去の遺産を食いつぶしているだけかもしれない。

変わらないものは何もない。それは平成の次の時代も同じだろう。日本に戦争は起きない、という常識が消えてなくなることだって十分にあり得る。

<「ニューズウィークが見た『平成』1989-2019」掲載>

「ニューズウィークが見た『平成』1989-2019」書き下ろしコラム
ピーター・タスカ:失われた20年に「起きなかったこと」に驚く──平成は日本を鍛え上げた時代
コリン・ジョイス:国技館で天皇を見た、平成は立派で前向きな時代だった
デーナ・ルイス:平成の日本:「新しい不平等」の受け入れと、無関心の仮面の下に見たもの
ビル・パウエル:去りゆく象徴、善良なる男性、平成日本の「普通の天皇」

※詳しくは「ニューズウィークが見た『平成』1989-2019」をご覧ください。

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