最新記事

ブレグジット

イギリス政府、合意なきEU離脱に備えた計画を実行へ 企業に対応促す

2018年12月19日(水)09時50分

12月18日、英政府は、欧州連合(EU)からの離脱を巡り、合意できないまま離脱する事態に備えた計画を全面的に実行し、企業や市民に対応を促す方針を示した。ロンドンの議会前で17日撮影(2018年 ロイター/Toby Melville)

英政府は18日、欧州連合(EU)からの離脱を巡り、合意できないまま離脱する事態に備えた計画を全面的に実行し、企業や市民に対応を促す方針を示した。

離脱期限まで約100日となる中、メイ首相はEUと合意した離脱案について議会の採決を1月半ばに延期したが、承認が得られるめどは立っていない。

合意なき離脱となれば移行期間はなく、混乱が生じる恐れがある。

政府は緊急事態に備え、医療用品の通常の供給を確実にするためのフェリーの停泊スペース確保や、英軍から3500人を動員することを計画している。

メイ首相の報道官は、離脱案の合意を目指すことが依然として政府の優先事項で最も可能性の高いシナリオだとした上で、合意なき離脱に備えた計画を「全面的」に実施すると表明。「閣議で合意した。われわれはそうした備えの強化が必要な局面に至っている」と述べた。

また企業に対し、独自に準備している対応策を必要に応じて実行に移すよう要請する方針を示し、市民も同様に備えるべきだと呼び掛けた。

合意なき離脱への対策について詳細なアドバイスをまとめ、近く公表する考えも示した。

政府は2016年の国民投票以降、EUからの離脱向けに42億ポンド(53億1000万ドル)超の資金を振り向けている。ハモンド財務相は18日、この財源から20億ポンド超を関連部門に割り当てた。

国境管理の強化に向け、内務省には4億8000万ポンド、通関業務の増加に対応するための人員確保に向け税当局には3億7500万ポンド、環境、漁業、食品関連当局には4億1000万ポンドが割り当てられた。

[ロンドン 18日 ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2018トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

20250408issue_cover150.png
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年4月8日号(4月1日発売)は「引きこもるアメリカ」特集。トランプ外交で見捨てられた欧州。プーチンの全面攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

訂正-米テキサス州のはしか感染20%増、さらに拡大

ワールド

米民主上院議員、トランプ氏に中国との通商関係など見

ワールド

対ウクライナ支援倍増へ、ロシア追加制裁も 欧州同盟

ワールド

ルペン氏に有罪判決、次期大統領選への出馬困難に 仏
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 2
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者が警鐘【最新研究】
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 5
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 6
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 7
    3500年前の粘土板の「くさび形文字」を解読...「意外…
  • 8
    メーガン妃のパスタ料理が賛否両論...「イタリアのお…
  • 9
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 10
    なぜ「猛毒の魚」を大量に...アメリカ先住民がトゲの…
  • 1
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き詰った「時代遅れ企業」の行く末は?【アニメで解説】
  • 2
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 3
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 4
    【独占】テスラ株急落で大口投資家が本誌に激白「取…
  • 5
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 6
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 7
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 8
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 9
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 10
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジ…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中