中間選挙へ共和党候補が警戒する「トランプ」という踏み絵
下院の激戦区56区のうち、共和党議員が出馬しているのはその3分の1以上に当たる19区だが、ロイターの分析によれば、今年になって彼らの選挙活動用ウェブサイトやツイッター、フェイスブックにおいて、トランプ氏を支持するコメントは見られない。
この傾向は、最も裕福な激戦区10区において特に深刻だ。これら選挙区の共和党候補のうち、ウェブサイトやソーシャルメディアでトランプ支持を表明しているのはわずか4人だけだ。一方、平均所得が最も低い激戦区10区では、8人の候補がトランプ支持を表明している。
激戦区における共和党候補のウェブサイトやソーシャルメディアの投稿をロイターが分析した結果、いかに激しい競争圧力に直面しているかが明らかとなった。共和党の支持基盤は、トランプ氏を批判する候補や、同氏とは反対の政策を望む穏健派や独立派を締め出している。
大統領について沈黙を守っている共和党現職議員の多くは、トランプ政策法制化の大半を支持しているが、表立ったトランプ支持は表明しておらず、デリケートな綱渡りを続けている。
「ドナルド・トランプ氏がすべてを支配している」──。富裕層の多い郊外選挙区の下院議員候補数人に助言している共和党の世論調査専門家、ウィット・エアーズ氏はそう語る。
エアーズ氏は候補者たちに対し、トランプ支持の表明を避けるだけでなく、大統領に対する批判も避けるよう助言している。大統領には触れないよう会話して、「その選挙区の価値や利益のために、共和党候補がいかに適しているかを強調」することが大事だ、と同氏は語った。
トランプ大統領は8月以降、下院候補10人以上の応援に立っている。それら候補の中には、低所得世帯の多い激戦区候補数人も含まれている。大統領は今後も、下院候補のためにイベントを予定している。
トランプ大統領の政治局長ビル・ステピエン氏は、1日付の内部メモで、大統領支持を表明しない共和党候補は、国家の方向性を支持する人たちに大統領がもたらした熱狂を活用できないと警鐘を鳴らした。
共和党支持者は下院選への関心において、民主党に遅れをとっていると同氏は指摘。「これまで投票しなかった有権者に投票させる」トランプ氏の能力を称賛した。
同氏はまた、勝つためには、候補者はトランプ氏とその政策に「明確かつ力強く同調する」必要があると述べた。