イタリア高速道路橋崩落、的外れなEU批判が覆い隠す財政実態
経済協力開発機構(OECD)のデータに基づくと、イタリアが交通インフラの投資および維持に支出した金額は2008─15年で58%も減少した。
ところがイタリア銀行(中央銀行)が昨年行った分析では、もっと多く投資しようと思えば可能だった。現実を見ると、07─15年に実質ベースの公共投資が35%落ち込んだ一方で、公務員の給与や年金支給といった経常的な歳出は7%も増えたのだ。
EU欧州委員会は15日、イタリア連立政権に対し、しばらく前からインフラ投資を優先するよう促してきた事実を思い起こしてほしいとのメッセージを送った。
欧州委によると、4月には事故が起きたジェノバ地域を含むイタリアの高速道路向けに85億ユーロの投資をすることを承認している。またイタリア政府は、14年─20年の間に道路や鉄道といった交通網インフラのためにEUから約25億ユーロを受け取れることにもなっているという。
イタリアのトリア経済・財務相でさえ、インフラ投資はEUの財政ルールを緩和せよという連立政権の要求とは別問題かもしれないとの見方を示唆した。
トリア経済・財務相は、自身の優先課題は単に公共投資を拡大することではないと発言。政府はお金をうまく使う力や、民間への適切な介入能力が不足しているという問題の克服を目指していると説明した。
同国財務省の関係者は、トリア経済・財務相は既にEU側と向こう10年で総額1500億ユーロに上る大規模な公共投資計画を協議中であり、インフラ支出のために財政赤字を増やす必要はないと述べた。
今回の高架橋崩落は、連立政権にとってはEUを責める別の理由にもならなさそうだ。高架橋は1967年の完成からまもなく問題が生じていた上、維持補修を担当していたのは政府ではなく民間企業だったからだ。
(Valentina Za記者、Stefano Bernabei記者)
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