最新記事

基礎知識

ムスリムに恋をしたら結婚できる? 今さら聞けないイスラム教15の疑問

2018年7月5日(木)21時35分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

Q 12. 信者に恋をしましたが私は無宗教です。結婚はできますか?

相手やその家族の考え方によって異なる。あなたが男性の場合、イスラム教に改宗しないと相手側の家族・保護者の許可が得られない可能性が高い。好んで異教徒に娘を嫁がせる信者は少ないと思われるためである。あなたが女性の場合、男性ほど改宗を求められないかもしれないが、妻としての権利を主張するためには、改宗した方がよいだろう。

結婚は契約であり、一夫多妻制が認められている国の信者との結婚であっても、契約で自分以外の妻帯を制限することができる。

Q 13. 死ぬと人間はどうなるのですか?

最後の審判までは、墓場で待機。人間が死ぬと、イズラーイールという天使が肉体から魂を剝ぎ取って最後の審判まで保管する。肉体は、湯灌(ゆかん)という浄めを施され、経帷子(きょうかたびら)を着せられ、顔がメッカの方角を向くようにして土葬される。

火葬は地獄での罪人に対する懲罰に通じるため、忌避される。墓中では、ムンカルとナキールという天使によって信仰の有無を問われ、不信仰者は責めを受けるとされる。審判では、生前の行いに応じて天国行きか、地獄行きかが決定される。

真水や酒や乳の川が流れる緑豊かな天国では、快楽の限りを尽くすことができるとされる。地獄(火獄)では火で炙られ、苦い実を食わされ、煮え湯を飲まされるという苦しみに苛まれるという。

Q 14. 悪魔はいますか?

人間に悪事を唆(そそのか)す悪魔がいる。アッラーが最初の人間アダムを創造した際、イブリースと称する悪魔も誕生した。初め、天使の一員だったが、土から創られたアダムに跪拝(きはい)するようアッラーが天使たちに求めた際、拒否し、堕天する。ただアッラーに罰の執行猶予を乞い、認められる。そこで悪魔は人間の愚かさを証明するため、アダムとその妻イブに、禁じられた知恵の実を食すよう唆し、成功。こうしてアダム夫妻は楽園追放された。以後悪魔は人間に悪事を唆し、アッラーの教えから逸脱させようと活動している。悪魔は人間に直接危害を加えるのではなく、悪行を唆す存在なのだ。

Q 15. 人間はどんな存在ですか? 人間は何のために生きるのですか?

アッラーの被造物として土から創られた人間は、地上(現世)におけるアッラーの代理人としての役割を与えられており、動植物をはじめ、全被造物の支配者と位置付けられ、これを管理運営する義務を負うとされている。

それゆえ、人間はアッラーの意志に従って地上に秩序を確立し、死後天国に入るべく身を律して生きなければならない。またアッラーによって創造されたという大恩を忘れ、タウヒード(神の唯一性)を否定し、不信仰に走った者を改心させ、アッラーの道に戻してやる役目も負っている。

(Text:橋爪烈)

【参考記事】牛肉はOKだがチーズバーガーはNG ユダヤ教を15の疑問で読み解く

penbreligion-cover180.jpg
Pen BOOKS 知っておきたい、世界の宗教。
 ペン編集部 編
 CCCメディアハウス

ニューズウィーク日本版 ジョン・レノン暗殺の真実
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年12月16日号(12月9日発売)は「ジョン・レノン暗殺の真実」特集。衝撃の事件から45年、暗殺犯が日本人ジャーナリストに語った「真相」 文・青木冨貴子

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

中国で「南京大虐殺」の追悼式典、習主席は出席せず

ワールド

トランプ氏、次期FRB議長にウォーシュ氏かハセット

ビジネス

アングル:トランプ関税が生んだ新潮流、中国企業がベ

ワールド

アングル:米国などからトップ研究者誘致へ、カナダが
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
2025年12月16日号(12/ 9発売)

45年前、「20世紀のアイコン」に銃弾を浴びせた男が日本人ジャーナリストに刑務所で語った動機とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の脅威」と明記
  • 2
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 3
    受け入れ難い和平案、迫られる軍備拡張──ウクライナの選択肢は「一つ」
  • 4
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 5
    「前を閉めてくれ...」F1観戦モデルの「超密着コーデ…
  • 6
    首や手足、胴を切断...ツタンカーメンのミイラ調査開…
  • 7
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 8
    現役・東大院生! 中国出身の芸人「いぜん」は、なぜ…
  • 9
    【揺らぐ中国、攻めの高市】柯隆氏「台湾騒動は高市…
  • 10
    世界最大の都市ランキング...1位だった「東京」が3位…
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 4
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 5
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 6
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 7
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の…
  • 8
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 9
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 10
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中