最新記事

アルコール

メキシコでテキーラ原料のアガベ不足が深刻化 世界的人気が裏目に

2018年2月4日(日)13時04分

原料価格の高騰は、かつて市場で主流だった低純度で低価格のテキーラを製造する会社にとって、プレミアムメーカーとの競争がより困難になっていることを意味する。

「アガベには大型投資が必要で、低価格のテキーラでは割に合わない」と、CNITのルイス・ベラスコ会長は語る。

高級テキーラを生産する小規模メーカーにもその影響は及んでおり、消費者が他の酒に流れることを心配する声も上がっている。

「1キロ20ペソ超では、ウォッカやウィスキーなど他のスピリッツ類と競争するのは不可能だ」と、ハリスコ州エルアレナルにある小規模製造会社テキーラ・カスカウィンのサルバドール・ロサレスさんは言う。「このままの状態が続けば、多くのメーカーが倒産する」

CNITのデータによると、純正テキーラの米国向け輸出は、この10年で3倍近くに増加。より安価なブレンドテキーラの輸出は、わずか11%の増加だった。

同期間に、メキシコのテキーラ生産量は4%減少。特にブレンドテキーラが大きく落ち込んでいる。

世界の需要

ならず者が好み、大学生のパーティで飲まれる「ワイルドな酒」としてのイメージから脱皮し、高級酒の仲間入りを果たしたテキーラだが、この業界では、近年買収などの動きが相次いている。

世界販売量1位のラムブレンド「バカルディ」を有するバカルディは1月、高級テキーラメーカーのパトロン・スピリッツ・インターナショナルを51億ドル(約5500億円)で買収すると発表した。

2017年には、メキシコのベックマン家が、長年憶測があったホセ・クエルボの新規株式公開を行い、9億ドル以上を調達した。

また、英ディアジオは2014年、ブッシュミルズ・アイリッシュウィスキーを手放して高級テキーラ製造会社ドン・フリオを完全子会社化している。

多くのテキーラ製造会社はいま、テキーラ人気にどう歩調を合わせるかという問いに直面している。

「(テキーラの)成長に追い越されてしまった。テキーラ産業にとっては、成功がもたらした危機だ」と、パトロンの経営戦略担当者フランシスコ・ソルテロ氏は言う。パトロンでは、様々な契約を通じてアガベを購入しているという。

「想定の倍のペースで成長してしまった」

パトロンやテキーラサウザのような大量生産メーカーは、アガベの支払いに苦労しておらず、今後も在庫量は増える見通しだという。

「価値を売っている時に、コストは問題にならない」と、ソルテロ氏は言う。

ほとんどのアガベを自家栽培しているテキーラサウザでは、原料不足の問題は今後も起きない見通しだ、と同社のセルバンド・カルデロン氏は言う。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

中国首相、フォーラムで一段の経済開放約束 日本企業

ワールド

G7、エネ供給支援へ必要な措置講じる用意 外相声明

ワールド

トランプ氏、米空港にICE捜査官派遣と警告 予算巡

ワールド

トランプ氏、イランに48時間以内のホルムズ開放求め
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:イラン革命防衛隊
特集:イラン革命防衛隊
2026年3月24日号(3/17発売)

イスラム神権国家を裏からコントロールする謎の軍隊の歴史と知られざる実力

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【銘柄】「三菱商事」の株価に高まる期待...ホルムズ海峡封鎖と資源価格高騰が業績を押し上げ
  • 2
    メーガン妃、娘リリベット王女との「お手伝い姿」公開...母としての素顔に反響
  • 3
    メーガン妃、親友称賛の投稿が波紋...チャリティーの場でにじんだ「私的発信」
  • 4
    BTSカムバック公演で光化門に26万人、ソウル中心部の…
  • 5
    韓国製ミサイル天弓-II、イラン戦争で96%迎撃の衝撃 …
  • 6
    「マツダ・日産・スバル」が大ピンチ?...オーストラ…
  • 7
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する…
  • 8
    「日本人のほうが民度が低い」を招いてしまった渋谷…
  • 9
    「カメラの目の前」で起きた爆発の瞬間...取材中の記…
  • 10
    まずサイバー軍が防空網をたたく
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期スペイン女王は空軍で訓練中、問われる「軍を知る君主」
  • 3
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え時の装いが話題――「ファッション外交」に注目
  • 4
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 5
    第6回大会を終えて曲がり角に来たWBC
  • 6
    メーガン妃、娘リリベット王女との「お手伝い姿」公…
  • 7
    【衛星画像】イラン情勢緊迫、米強襲揚陸艦「トリポ…
  • 8
    韓国製ミサイル天弓-II、イラン戦争で96%迎撃の衝撃 …
  • 9
    「マツダ・日産・スバル」が大ピンチ?...オーストラ…
  • 10
    ズボンを穿き忘れてる! 米セレブ、下を穿かず「目の…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 5
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 6
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 7
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 8
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 9
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 10
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中