顔認識技術を組み込んだディスプレイ、あなたの心まで丸裸に(前編)
これはTwitterユーザーが身元を守ったり、長く連絡を取っていない友人や親戚を見つけたり、新しい付き合いを開拓したりするのに役立っている。FindFaceは西ヨーロッパ最大のSNSであるVK(VK.com)での検索にも対応しており、未解決事件の解決や、犯罪者の特定に使われた実績もある。
彼らは先日、この技術が今や感情や年齢、性別の区別も可能になったと公表した。このことは小売業やセキュリティにおいて大きな影響を及ぼし、監視カメラに映った対象から恐怖や憎しみ、心配などの表情を読み取り、疑うことで犯罪者や逃亡中の容疑者を見つけ出すといったことができるようになるという。
クハレンコ氏に顔認証技術を使ったデジタルサイネージの利用について聞いてみた。彼のコメントは次の通りだ。
「企業が顧客のことをよりよく理解しようとすること自体に問題があるとは思いません。彼らは需要を読んでいるのであり、これは人類が生まれて以来、企業が常に行ってきたことです。今ではビーコンやWiFiルータを使い、人々がどこでどのように生活しているのかという情報が大量に集められています。顧客のオンラインでの振る舞いを分析することで、好みや趣味といったことについてのあらゆる情報が集められることになります。人の感情を統計的に扱うのは今の世の中では普通のことだと言えます」
スタートアップ(であれ何であれ)企業が自分たちの技術の使われ方についてどこまで影響力を持っているものなのだろうか? クハレンコ氏は、顔認証サービスは既にいくつかのショッピングモールで、出入りする人々の感情をモニターするのに使われていると説明し、更にこう付け加えた。
「世の中をより安全かつ快適なものにすることが我々の任務です。私たちの商品戦略や技術を使ったプロジェクトはこのことを達成するためのものです。どんな技術であれ、いい使い方をされることもあれば悪用されることもあるでしょう。いい影響を及ぼす利用例が、批判を起こす例の何百倍にもなることを信じます。個人での宇宙旅行について語られる世の中で、VR、ARやデジタル経済、情報の透明性についての人々の認識が50年前とさほど変わらないというのは妙な気もします。彼らは考えを変え、プライバシーとは何かということを見直す必要があるでしょう」
(以下、後編に続きます)