最新記事

プライバシー

顔認識技術を組み込んだディスプレイ、あなたの心まで丸裸に(前編)

2017年7月27日(木)20時45分
ケイト・ローレンス ReadWrite[日本版]編集部

(c) ReadWrite[日本版]編集部

<ここ数年、駅のコンコースや商業施設など人通りの多いところで目につくようになってきた液晶ディスプレイによる広告ディスプレイ「デジタルサイネージ」。足早に通り過ぎながら美しい映像を見ていると思っているなら気をつけたほうがいい。あなたはディスプレーを見ているのではなく、見られているかもしれないのだ......>

先日、レストランやショッピングエリアで使われている顔認識技術を使ったデジタルサイネージが、来店者にパーソナライズされた広告を表示するためだけでなく、小売業者がよりターゲットを絞り込んだマーケティングを行えるという建前で、来店者の反応などを記録していた件について議論が巻き起こった。

オスロのレストラン Peppe's Pizzaでデジタル広告の故障が起こり、デジタルサイネージの裏側に設置されている顔認証のプログラムコードが露呈したことから問題が発覚した。この事件のデジタルサイネージにはカメラと、対象者の性別や年齢、表情、メガネをかけているか、サイネージの前にどれだけ留まっていたかなどを認識する機能が備わっている。

この件に関して、ダブリンに拠点を置くデザイナー、ユセフ・サーハンは自宅で調査をした結果、同じようなデジタルサイネージが稼働しており、彼の懸念はそれらの多くで現実のものとなっていることがわかった。

「あなたの行動(とそれに伴うメタデータ)は、あなたが知らない間に広告主に送られており、それを拒否する方法はありません。これが問題の核心です。裏で何が行われているのかわからず、何の通知もなく、拒否することもできない。これはプライバシーの侵害であり、受け入れられるものではありません」

tweetimage20170727_03.jpg

マーケティングにおけるAIおよび顔認証の活用についてさらに知るために、顔認証技術を開発する NTechLabの設立者である アルテム・クハレンコに話を聞いた。彼らはニューラルネットワークを使った顔認証アルゴリズムを開発し、ワシントン大学で2015年11月に行われた顔認証技術コンテスト「メガフェイス」で、GoogleのFacenetを含む90のライバルを制して優勝している。

この技術はのちにロシア製のAndroidアプリ「FindFace」に使われており、これにより誰でも自分の携帯で写真を撮ってサービスにアップロードすることで、1秒もかからないうちにその人のSNSアカウントを見つけることができる。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

FRB、年内0.5%追加利下げ見込む 幅広い意見相

ビジネス

情報BOX:パウエル米FRB議長の会見要旨

ビジネス

FRB、利下げ再開 雇用弱含みで年内の追加緩和示唆

ビジネス

FRB独立性侵害なら「深刻な影響」、独連銀総裁が警
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「日本を見習え!」米セブンイレブンが刷新を発表、日本では定番商品「天国のようなアレ」を販売へ
  • 2
    中国は「アメリカなしでも繁栄できる」と豪語するが...最新経済統計が示す、中国の「虚勢」の実態
  • 3
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェイン・ジョンソンの、あまりの「激やせぶり」にネット騒然
  • 4
    1年で1000万人が死亡の可能性...迫る「スーパーバグ…
  • 5
    【クイズ】世界で最も「リラックスできる都市」が発…
  • 6
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 7
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 8
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 9
    中国山東省の住民が、「軍のミサイルが謎の物体を撃…
  • 10
    燃え上がる「ロシア最大級の製油所」...ウクライナ軍…
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 3
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサイルが命中、米政府「機密扱い」の衝撃映像が公開に
  • 4
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 5
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 6
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 7
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 8
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 9
    「なんて無駄」「空飛ぶ宮殿...」パリス・ヒルトン、…
  • 10
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 6
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 7
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 8
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 9
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 10
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中