不妊化したオスで蚊の繁殖を防ぐ、デング熱撲滅の新プロジェクトが始動
アフリカや東南アジアなど熱帯だけの感染症ではない。2015年にアメリカ大陸だけで、235万人が感染し、そのうち1万200人が重症型デング熱と診断され1181人が死亡したことを厚生労働省が報告している。
日本も例外でなく、2014年に東京で69年ぶりにデング熱の日本国内での感染患者が報告された。昨年7月には、フィリピンに滞在歴のある女性がデング熱を発症して死亡したと厚生労働省が発表した。
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「ボルバキア」の影響に不安も
ボルバキアの感染が引き起こす現象は他にもある。感染した個体の生殖システムに影響を及ぼす機能があり、感染した宿主がオスだった場合、メス化させる「性転換」や、感染したメスがオスなしで次世代を残す「単為生殖」が確認されている。
ボルバキアを活用してウイルス伝播を阻止する試みは、これまで他の地域でも実施され効果に期待が集まっていた。ただその一方で、不安も残る。科学情報メディアのサイエンス・デイリーは6月15日付けの記事で、インディアナ大学ブルーミントン校の生物学研究科助教授、アイリーン・ガルシア・ニュートンのコメントを掲載。ボルバキアに感染した蚊を広範囲に放出することで、細菌に耐性のあるウイルスの発生を引き起こす可能性があると指摘し、環境に対する長期的な影響はまだ解明されていないと伝えた。
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