最新記事

感染症

不妊化したオスで蚊の繁殖を防ぐ、デング熱撲滅の新プロジェクトが始動

2017年7月21日(金)11時10分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

アフリカや東南アジアなど熱帯だけの感染症ではない。2015年にアメリカ大陸だけで、235万人が感染し、そのうち1万200人が重症型デング熱と診断され1181人が死亡したことを厚生労働省が報告している。

日本も例外でなく、2014年に東京で69年ぶりにデング熱の日本国内での感染患者が報告された。昨年7月には、フィリピンに滞在歴のある女性がデング熱を発症して死亡したと厚生労働省が発表した。

【参考記事】アメリカの科学者、ゾンビ襲来を警告
【参考記事】スーパー耐性菌の脅威:米国で使える抗生物質がすべて効かない細菌で70代女性が死亡

「ボルバキア」の影響に不安も

ボルバキアの感染が引き起こす現象は他にもある。感染した個体の生殖システムに影響を及ぼす機能があり、感染した宿主がオスだった場合、メス化させる「性転換」や、感染したメスがオスなしで次世代を残す「単為生殖」が確認されている。

ボルバキアを活用してウイルス伝播を阻止する試みは、これまで他の地域でも実施され効果に期待が集まっていた。ただその一方で、不安も残る。科学情報メディアのサイエンス・デイリーは6月15日付けの記事で、インディアナ大学ブルーミントン校の生物学研究科助教授、アイリーン・ガルシア・ニュートンのコメントを掲載。ボルバキアに感染した蚊を広範囲に放出することで、細菌に耐性のあるウイルスの発生を引き起こす可能性があると指摘し、環境に対する長期的な影響はまだ解明されていないと伝えた。

【参考記事】絶海の島国ナウルでデング熱が流行、豪難民収容所の住人は大丈夫か

【お知らせ】ニューズウィーク日本版メルマガリニューアル!
ご登録(無料)はこちらから=>>

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

英財務相、増税巡る批判に反論 野党は福祉支出拡大を

ビジネス

中国の安踏体育と李寧、プーマ買収検討 合意困難か=

ビジネス

ユーロ圏10月銀行融資、企業向けは伸び横ばい 家計

ビジネス

成長型経済へ、26年度は物価上昇を適切に反映した予
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ガザの叫びを聞け
特集:ガザの叫びを聞け
2025年12月 2日号(11/26発売)

「天井なき監獄」を生きるパレスチナ自治区ガザの若者たちが世界に向けて発信した10年の記録

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 2
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファール勢ぞろい ウクライナ空軍は戦闘機の「見本市」状態
  • 3
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 4
    【クイズ】次のうち、マウスウォッシュと同じ効果の…
  • 5
    7歳の娘の「スマホの検索履歴」で見つかった「衝撃の…
  • 6
    がん患者の歯のX線画像に映った「真っ黒な空洞」...…
  • 7
    ミッキーマウスの著作権は切れている...それでも企業…
  • 8
    ウクライナ降伏にも等しい「28項目の和平案」の裏に…
  • 9
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 10
    あなたは何歳?...医師が警告する「感情の老化」、簡…
  • 1
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判殺到、そもそも「実写化が早すぎる」との声も
  • 2
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
  • 5
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 6
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネ…
  • 7
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワ…
  • 8
    海外の空港でトイレに入った女性が見た、驚きの「ナ…
  • 9
    【銘柄】イオンの株価が2倍に。かつての優待株はなぜ…
  • 10
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 6
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 7
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 10
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中