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中国産冷凍餃子に大異変 肉より野菜、そして健康重視へ

2017年6月28日(水)18時43分

めったにない贅沢

1970年代末に中国が豚肉市場を世界に開放し始めて以来、豚肉需要は平均5.7%のペースで2014年まで毎年拡大してきた。好景気が、何億人もの国民に、より頻繁に肉を食べることができる経済的余裕を与えたからだ。1949─76年、故毛沢東主席が君臨した時代は、多くの国民にとって肉を食べることはめったにない贅沢だった。

しかし今日では、肥満や心臓疾患に対する高まる懸念が、国民の購買習慣に影響を与えており、アボカドからフルーツジュース、スポーツウェアまでさまざまな商品の売り上げが伸びている。

「市場の需要は引き続き非常に弱い。この要因の1つは、肉の摂取を減らした方が健康的だと人々が考えているからだろう。これは新しいトレンドだ」。香港のラボバンクで食品・農業関連調査のエグゼクティブ・ディレクターを務めるパン・チェンジュン氏はそう語る。

またニールセンの調査では、昨年、冷凍餃子全体の売上高が7%伸びたのに対して、野菜のみを具とする餃子は30%成長している。

「野菜製品の需要は伸び続けており、われわれに大きな成長の余地をもたらしている」と語るのは、餃子メーカー業界第2位の思念食品で製品マネジャーを務めるチョウ・ウェイ氏。

ハーモニー・ケータリング(広州)によれば、同社が運営する300カ所の食堂で毎日食事をする100万人の労働者に対して、肉の提供量が減ったのは「健康志向」が主な要因だったという。

ハーモニーのリー・フアン副社長によれば、同社の顧客であるテクノロジー企業、銀行、石油大手企業の社員たちが消費する肉の量が5年前に比べて10%減少する一方で、緑色野菜の量は10%増加したという。「主としてメディアにより、健康というコンセプトが人々の意識に入ってきたことが理由だ」と彼は言う。

今のところ、食生活に対する関心を高めているのは、主として都市部のホワイトカラー労働者である。たとえば大学のキャンパスでは、ベジタリアン向けの食堂が急増している。だが政府は、食習慣の変化が全国的に広がることを望んでいる。

米ハーバード大学の研究者らが昨年警告したように、中国では子どもの肥満が急増しており、国民は心臓疾患の増大にも直面している。原因として指摘されたのは、赤身肉の消費増大と高い塩分摂取量だ。

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