ネガティブになりがちな内向型人間にも、10の強みがある
第1章にも書いたとおり、神経生物学的に見ても「内向型人間」と「外向型人間」の違いは明らかです。「内向型人間」の自律神経系と神経路は集中や習得や熟考や記憶に適し、「外向型人間」の自律神経系と神経路は活発な行動や刺激の追求に適しているからです。
この生物学的違いが両者の強みを明確にしてくれます。しかしすべての「内向型人間」が次にあげる10項目すべての強みをもっているわけではありません。またそれらの強みのすべてが「内向型人間」だけに当てはまるというわけでもありません。「外向型人間」の中にも文章力や分析力に優れている人はいます。ですが「内向型人間」のほうが(私の経験から見ると)圧倒的に次にあげる強みをもっている可能性が高いのです。
「この強みは私に当てはまる?」そう考えながら、次を読んでください。そして章の最後にある質問に答えましょう。その答えがあなたにとって重要な認識、宝になります。
「内向型人間」の強み
強み(1):慎重である
相手を尊重している証拠
慎重さは強みでもなんでもないように思われるかもしれません。でも実は強みなのです。慎重に行動する人は、人との付き合い方においても慎重です。ぶしつけな態度を取ったり、相手を威圧したりするようなことはしません。相手の意向を尊重し、理解することができます。自分の意見に固執することもありません。
神経生物学的に見ると「内向型人間」は「安全追求型」、「外向型人間」は「報酬追求型」です。「慎重である」という強みは「安全追求型」の特性、言わばよい特性です。「内向型人間」は周囲をよく観察し、十分考えてからでないとリスクをともなうことに関わろうとはしません。とにかく危険を避けようとします......。
リスクをともなうこととは、バンジージャンプや株式投資といったものだけではありません。コミュニケーションにもリスクはあります。「内向型人間」はやたらと比較したり、押しつけがましい提案をしたり、突発的なアイデアを口にしたり、挑発したりということはしません。他人とコミュニケーションする上で2つのことを大事にしています。1つ目は、相手に対してある程度距離を置くこと。「内向型人間」はそう簡単に自分をさらけ出そうとはしません。自分を感動させるものや動揺させるもの、また自分にとって大切なことは本当の友達にしか伝えません。ですが、それは相手を尊重しているからなのです。そして2つ目は、考えずにものを言ったり、決断したりしないこと。「内向型人間」は考えつくしたもの、確認しつくしたこと以外は口にしません。だから他人のあまり考えのない意見をネガティブに受けとる傾向があります。
慎重さが不安になると......
「内向型人間」は自分について、または自分が感動したものについて話をするときに慎重になりすぎることがあります。「外向型人間」はこれを「近寄りがたい」、または「愛想が悪い」と受けとります。
「内向型人間」の慎重さは最悪の場合「不安」を招き、それが弱みになります。これについては次の章で説明します。「内向型人間」の慎重さはたいていの人からよい印象をもたれます。なぜなら相手は真剣に向き合ってもらえていると感じ、気分よくいられるからです。「内向型人間」の意見は押しつけがましいところがないだけでなく本質をついていることが多い、というのも好印象をもたれる理由です。これが強み(2)です。