オバマケア廃止・代替案のあからさまな低所得層差別
怪我や病気などで一時的に休職すると、雇用主を通じた給付を受け続けられないことがある。中断すると再加入時に前より保険料が上がることになる。この規定は人々に、保険を継続しようという気持ちにさせるだろう。
──今回の法案は、退職間近、あるいは最近退職したばかりの人にどのような影響を及ぼすのか。
64歳でまだ企業に勤めている人には影響はないだろう。しかし、既に退職したがメディケア(高齢者向け公的医療保険)の加入年齢(65歳)に達していない人は医療保険に加入しなくてはならない。
──代替案にはメディケアに関する変更点があるか。
今のところ書いていない。ドナルド・トランプ大統領は、メディケアには何の修正も加えないと公約している。しかし、ポール・ライアン米下院議長は、大幅な改革を行うと語った。現時点では、代替案はメディケアに触れていないが、将来もそのままかどうかはわからない。
──代替案で、高額所得者はどんな影響を受けるか?
オバマケアでは、高額所得者はメディケア(低所得者向け医療保険制度)税を多く払わなくてはいけなかった。それがメディケアの大きな収入源となっており、所得再分配に使われていた。しかし代替案にはメディケア税のようなものは含まれていない。
オバマケアの欠点は
──この代替案で得をする人、損をする人は誰か。
裕福で健康な人が最も得をする。さほど裕福ではなく持病があるという人は損だ。貧困層はおおむね、新たな制度の下で今より悪くなるだろう。
──オバマケアの問題は何だったのか。
保険取引所の制度設計が悪かったために、保険会社が徹底してしまった。そのため競争が期待したほど行われなかった。この点は変えなければいけない。
──保険取引所に参加している保険会社が今年から保険料を25%も上げたのはそのためか。
保険料の高騰には2つの理由があった。1つは競争の欠如。もう1つは、予想したほど健康な人が加入しなかったために、費用ばかりが増大してしまったことだ。
だが、代替案だとこの問題がさらに悪化する。健康な人はオバマケアのときより加入しなくなるからだ。