最新記事

生活習慣

家族との「仲」より「距離」を大切にする人が幸せになれる

2017年3月8日(水)16時04分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

 やっぱり、お金がないと家族の間もぎくしゃくするし、問題も起こる。お金があるというのは、幸せを安定して支える大きな要素なのです。

 家庭を築くとき、仲のいい家庭を目指すのは当然でしょう。でも、貧乏の坂を下りていく家庭は、この家族の仲の良さだけを目指し、家庭の幸せの基礎となっているお金についてあまり考えません。先ほど書いた教育費のこともそうです。一見すると、愛情いっぱいの親に見えるかもしれません。しかし、老後にお金がなく、子どもに頼る親を子はどう思うでしょうか? それが、家族への愛情の結果だとしたら悲しい限りです。

 夫婦の間だってそうです。私の知り合いの共働きの家庭は、おたがいがいくら稼いでいるかを知りませんでした。共通の口座に決まった額を入れ、あとの残りはそれぞれが自由に使っていました。

 2人の子どもに恵まれ幸せな家庭に見えましたが、結婚10年目に夫に多額のローンがあることが発覚。妻に問い詰められたときに、実は妻も実家からお金を借りていることがわかったのです。それまでは、たがいにお金を貯めているのだろうと思っていたそうですが、まったく逆だったのです。

 おたがいのお金について干渉しないのが、仲の良さにつながると信じていたのですが、それは違いました。それからは給料を一つの口座に入れ、それぞれお小遣い制にしてから、貯金がぐんぐん増えていったそうです。

 一口に家族といっても、多数のつながりがあります。独身だったら、自分の両親や兄弟、結婚していたら、配偶者や子ども、配偶者の両親とどんどん増えていきます。家族にまつわるお金は、教育費だけではありません。親が年をとってくると、介護の費用だって考えなくてはなりません。当然、将来的には相続なんてこともシビアに直面することになります。私は、知らなかった借金の相続で大変な目に遭いました。

 家族だから、お金の心配をさせたくない。家族の仲がいいのが一番、お金は二の次。といった感じで、家庭でお金のことを話題にすることは少ないと思います。お金の話をすることで、家庭内をぎくしゃくさせたくないと思うかもしれません。

 繰り返しますが、幸せな家庭を長く続けるには、お金の面での安定性が欠かせません。

 それには、家族を冷静に見ること。くっつきすぎない適度な距離が必要なのです。「教育費には、いくらまでかける」「親の介護は誰が見て、いくらかかる」。家族のライフプランを冷静につくることが大切です。

 ただ、愛している、仲がいいだけでは、貧乏の坂を滑り落ちていくかもしれませんよ。


家族をお金の面からとらえてみましょう


『貧乏は必ず治る。』
 桜川真一 著
 CCCメディアハウス


今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

ヒズボラ指導者、イスラエルへの報復攻撃を示唆 司令

ワールド

「オートペン」使用のバイデン氏大統領令、全て無効に

ビジネス

NY外為市場=ドル、週間で7月以来最大下落 利下げ

ワールド

エアバス、A320系6000機のソフト改修指示 航
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ガザの叫びを聞け
特集:ガザの叫びを聞け
2025年12月 2日号(11/26発売)

「天井なき監獄」を生きるパレスチナ自治区ガザの若者たちが世界に向けて発信した10年の記録

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙すぎた...「心配すべき?」と母親がネットで相談
  • 2
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体を東大教授が解明? 「人類が見るのは初めて」
  • 3
    128人死亡、200人以上行方不明...香港最悪の火災現場の全貌を米企業が「宇宙から」明らかに
  • 4
    【クイズ】世界遺産が「最も多い国」はどこ?
  • 5
    【寝耳に水】ヘンリー王子&メーガン妃が「大焦り」…
  • 6
    「攻めの一着すぎ?」 国歌パフォーマンスの「強めコ…
  • 7
    子どもより高齢者を優遇する政府...世代間格差は5倍…
  • 8
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファ…
  • 9
    エプスタイン事件をどうしても隠蔽したいトランプを…
  • 10
    メーガン妃の「お尻」に手を伸ばすヘンリー王子、注…
  • 1
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 2
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 3
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネディの孫」の出馬にSNS熱狂、「顔以外も完璧」との声
  • 4
    海外の空港でトイレに入った女性が見た、驚きの「ナ…
  • 5
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
  • 6
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファ…
  • 7
    老後資金は「ためる」より「使う」へ──50代からの後…
  • 8
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワ…
  • 9
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙す…
  • 10
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 6
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 7
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 10
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中