家族との「仲」より「距離」を大切にする人が幸せになれる
やっぱり、お金がないと家族の間もぎくしゃくするし、問題も起こる。お金があるというのは、幸せを安定して支える大きな要素なのです。
家庭を築くとき、仲のいい家庭を目指すのは当然でしょう。でも、貧乏の坂を下りていく家庭は、この家族の仲の良さだけを目指し、家庭の幸せの基礎となっているお金についてあまり考えません。先ほど書いた教育費のこともそうです。一見すると、愛情いっぱいの親に見えるかもしれません。しかし、老後にお金がなく、子どもに頼る親を子はどう思うでしょうか? それが、家族への愛情の結果だとしたら悲しい限りです。
夫婦の間だってそうです。私の知り合いの共働きの家庭は、おたがいがいくら稼いでいるかを知りませんでした。共通の口座に決まった額を入れ、あとの残りはそれぞれが自由に使っていました。
2人の子どもに恵まれ幸せな家庭に見えましたが、結婚10年目に夫に多額のローンがあることが発覚。妻に問い詰められたときに、実は妻も実家からお金を借りていることがわかったのです。それまでは、たがいにお金を貯めているのだろうと思っていたそうですが、まったく逆だったのです。
おたがいのお金について干渉しないのが、仲の良さにつながると信じていたのですが、それは違いました。それからは給料を一つの口座に入れ、それぞれお小遣い制にしてから、貯金がぐんぐん増えていったそうです。
一口に家族といっても、多数のつながりがあります。独身だったら、自分の両親や兄弟、結婚していたら、配偶者や子ども、配偶者の両親とどんどん増えていきます。家族にまつわるお金は、教育費だけではありません。親が年をとってくると、介護の費用だって考えなくてはなりません。当然、将来的には相続なんてこともシビアに直面することになります。私は、知らなかった借金の相続で大変な目に遭いました。
家族だから、お金の心配をさせたくない。家族の仲がいいのが一番、お金は二の次。といった感じで、家庭でお金のことを話題にすることは少ないと思います。お金の話をすることで、家庭内をぎくしゃくさせたくないと思うかもしれません。
繰り返しますが、幸せな家庭を長く続けるには、お金の面での安定性が欠かせません。
それには、家族を冷静に見ること。くっつきすぎない適度な距離が必要なのです。「教育費には、いくらまでかける」「親の介護は誰が見て、いくらかかる」。家族のライフプランを冷静につくることが大切です。
ただ、愛している、仲がいいだけでは、貧乏の坂を滑り落ちていくかもしれませんよ。
家族をお金の面からとらえてみましょう