北朝鮮外務次官訪中を読み解く――北朝鮮の狙いと中国の思惑
2月28日の外交部定例記者会見で、「THAAD配備、全ての結果は米韓が責任を持て」と言ったことを、中国共産党新聞の機関紙人民日報の電子版「人民網」が伝えている。
また中国政府の通信社、新華通信の電子版「新華網」は「THAAD配備に反対する特別のウェブサイト」を設け、米韓に対する抗議キャンペーンを展開している。そこには「THAADの韓国配備、朝鮮半島を火薬庫にするな!」という見出しがあり、「配備すれば、戦争になるぞ!」という、中国政府の警告と受け止めることができる。
中国は韓国のTHAAD配備は、北朝鮮に向けたものではなく、あくまでも「北朝鮮を口実として、THAADの探知機能を利用して中国の軍事行動を探知するために配備しようとしている」と抗議し続けてきた。最近では民間の抗議運動も見られる。横断幕には「韓国ロッテ、中国に宣戦布告、THAADを支持するロッテは、すぐに中国から出ていけ」と書いてある。
横断幕にある「宣戦布告」という言葉は、「アメリカがあくまでもTHAADを配備するなら、中国にはその覚悟はある」つまり「戦争になるぞ!」という警告と解釈することができよう。たとえ、実際には戦争などできるはずがない中国ではあっても、それでもこのような威嚇的言葉を使っているのは、いかに反対しているかということの意思表示だろう。
中国が北朝鮮外務次官ら代表団を受け入れた最大の理由は、ここにある。
楊潔チ国務委員とトランプ大統領が会談:ワシントン
一方、同じ2月28日(アメリカ時間27日)、中国の楊潔チ国務委員がワシントンでトランプ大統領と会談した(「チ」は ※は竹かんむりに褫のつくり)。トランプ大統領としては、初めての中国要人との会談だ。もっとも、会談と言っても、数分間のあいさつ程度の面会だが、中国では大きく報道された。
中国外交部やCCTVの情報では、楊潔チ国務委員は、「衝突しない」「互いの核心的利益(一つの中国)の尊重」などの前提で米中および国際問題での協力を拡大したいとトランプ大統領に述べ、習近平国家主席とトランプ大統領による米中首脳会談の日程交渉も行なったとのこと。