来週プーチン露大統領来日、北方領土への期待値下げる安倍首相
かねてから浮上している共同経済活動についても、日本は自国の主権が侵害されないことを前提としており、4島の主権を主張するロシアとの隔たりはなお大きい。日ロ交渉に詳しい別の関係者は、主権問題で両国が折り合うことは困難と見ており、首脳同士の信頼関係だけで突破口を開くのは容易ではないと指摘する。
「解決に向けた協議入り」
米国の次期大統領にトランプ氏が就任することが、ロシア側の交渉姿勢に影響しているとの指摘もある。トランプ氏は大統領選勝利後、プーチン氏から受けた電話で、ロシアとの関係改善を望むことを伝えた。「ロシアが欲しいのは、国際的な経済制裁を受けている自国の横に、経済大国の日本が立っている姿。トランプ氏が制裁を緩める可能性があるなら、日本が立っている必要はなくなる」と、関係者の1人は話す。
安倍首相の地元の山口県で開く15、16日の首脳会談では、2013年に開いたきりの外務・防衛担当閣僚会合(2プラス2)の再開を議論する可能性も取りざたされている。経済協力の合意と合わせ、ロシアのクリミア併合で悪化した両国の関係が改善していることをアピールする。
しかし、領土問題については「解決に向け、一気に行くと期待するほうが間違い。期待値を上げてはいけない」と、長くロシアとの領土交渉に従事し、今も安倍首相に助言する鈴木宗男・元衆院議員は言う。「1956年の日ソ共同宣言をもとに、具体的な、解決に向けての協議に入ると、こう言えればいいと思う」と、同氏は話す。
(久保信博、梅川崇、リンダ・シーグ、竹中清 編集:田巻一彦)