民族大虐殺迫る南スーダン。国連安保理の武器禁輸措置決議になぜ日本は消極的なのか
Adriane Ohanesian-REUTERS
南スーダンで今何が起きているのか
自衛隊の派遣をめぐって、様々な問題が日本国内でも議論されている南スーダン。
しかし、これは国内政治の問題ではなく、現地の人々の命が今この瞬間も奪われている事態であり、そして何より今そこにある危機である。
1990年代に起きたルワンダの大虐殺、民族浄化、多数の住民が殺され、女性はレイプされるなど、壮絶な悲劇は未だに記憶されている。
南スーダンでの現在の状況は残念ながら、それに近いのではないか、集団虐殺(ジェノサイド)、民族浄化の危険が待ち構えているのではないか、と国連関係者は警告している。
日本の報道としては詳しいこちらを引用させていただく。
南スーダンの人権問題を調査する国連の委員会は1日、声明で「飢えや集団強姦、村の焼き打ちといった形で、国内各地で既に民族浄化が進んでいる」と警告し、「国際社会には(大虐殺に発展することを)防ぐ義務がある」と訴えた。
ジュバでは7月に政府軍と反政府勢力の戦闘が発生。最大民族ディンカが他の民族に対する迫害を強めているとされる。
委員会は声明で「多くの村人が奪われた土地を取り戻すために血を流す覚悟があると証言した」として緊張の高まりを指摘。1994年にルワンダで起きたような大虐殺が繰り返される懸念を示した。
国際社会は今後予定されるPKOの増派だけでなく、経済制裁などを強化する必要性があると強調した。委員会は南スーダンでの現地調査を終え、来年3月に国連人権理事会で調査結果を報告する。(共同)
これは、2016年3月に、国連人権理事会が設置した、南スーダンの人権に関する委員会(Commission on Human Rights in South Sudan )が、最近10日間の現地調査ミッションを実施した結果を12月1日に発表したものである。
既に11月17日開催の国連安保理では、国連ジェノサイド防止に関する国連特別代表が、
'all the warning signs' conflict could spiral into genocide"(紛争がジェノサイドへのスパイラルに発展しかねないすべての兆候)を強調していた。
12月1日の国連専門家の発表では、「国連ジェノサイド防止に関する国連特別代表が述べている通り、ジェノサイドにいたるたくさんの兆候がすでにそこにある、いまそこにある紛争、バラバラな民族的アイデンティティへの帰依、否認の文化、民族の追放、組織的な人権侵害とその計画の兆候・・しかし、重要なのはまだこれを防止できる時間があるということだ」
と訴える。国際社会には今、民族浄化を防ぐ行動が期待されている。
南スーダンは12月から乾季を迎える。雨季では十分な戦闘が難しいため、乾季は戦闘シーズンと言われている。時間は限られている。そして、1月になればトランプ政権となり、国連外交の先は全く読めなくなる。。。危険な情勢である。