最新記事

交通

アウトバーンが修繕時期を自己診断 事故も未然に防ぐスマートブリッジ10月導入

2016年9月21日(水)06時15分
ケイト・ローレンス ReadWrite[日本版]編集部


自動車の安全性をインフラから改善

readwrite20160920190133.jpg

 自動車メーカーが自動運転車の製造に注力するなか、交通プランナーは「自動車を指示し、これらとコミュニケーションをおこなうインテリジェントな道路インフラ」を開発しようとしている。自動車‐インフラ間(Vehicle-to-Infrastructure, V2I)および自動車‐自動車間(Vehicle-to-Vehicle, V2V)コミュニケーションの導入および試験、のためのプラットフォームを作り出すのがドイツ政府の狙いである。

 プロジェクトでは主にレーダーセンサーが使われており、Infineon社製の「77GHzマイクロチップ」によってコントロールされている。これらはすでに全体的なドライバーアシスタントシステムの一翼を担っており、ここ数年で「車間の維持」や「緊急自動ブレーキ」などで実績がある。これで、自動車に付いているセンサーが壊れたときでも、スマートブリッジ上を走行する自動車に対し緊急停止をガイドすることができる。

 ある車が緊急停止をする場合は周りの車にも信号が送られ、安全な車間距離が確保されるようになる。これが車の流れに影響を及ぼさないように行われるのは、言うまでもない。

 多くの企業がこのルートでの新技術の試験に興味を示しており、アウディやメルセデス・ベンツ、BMWなどはすでにオンボードコンピュータを使って、混雑するA9上で車を行き来させている。高速道路のコミュニケーションネットワークも同じく試験に入っており、先ほど紹介したA9上を走る車がリスクのあるドライビングをおこなう前に警告を発するシステム等がこれに含まれる。

【参考記事】自動車はどこまで自動化すれば自動運転車になる?

 また、Communication Systems and Continental社にFraunhofer Research Institutionは、ある車が故障しそうなときにその状況を後続車に伝えることができる技術を提供している。こういった機能の狙いは、ドライバーに差し迫る危機を伝え、他のルートを提示することである。

 プロジェクトが完成すれば、Siemens社とInfineon社は全テストデータをオープンソースフォーマットでリリースする予定だ。「自動車業界やデジタル分野、科学コミュニティなどがこれらデータを使い、よりイノベーティブな交通ソリューションを生み出すことが我々の狙いだ」と、語るのはSiemens Mobilityのテクノロジーインキュベータを務めるマルクス・ズウィック氏だ。

「インテリジェント・アウトバーン」でどのようなイノベーションが起こるのか、興味深い。

 

footerlogo.png
ReadWrite[日本版]編集部

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

ネクスペリア中国部門「在庫十分」、親会社のウエハー

ワールド

トランプ氏、ナイジェリアでの軍事行動を警告 キリス

ワールド

シリア暫定大統領、ワシントンを訪問へ=米特使

ビジネス

伝統的に好調な11月入り、130社が決算発表へ=今
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った「意外な姿」に大きな注目、なぜこんな格好を?
  • 3
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読み方は?
  • 4
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 5
    だまされやすい詐欺メールTOP3を専門家が解説
  • 6
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 7
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 8
    筋肉はなぜ「伸ばしながら鍛える」のか?...「関節ト…
  • 9
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 10
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読み方は?
  • 4
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 5
    【話題の写真】自宅の天井に突如現れた「奇妙な塊」…
  • 6
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 7
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 8
    女性の後を毎晩つけてくるストーカー...1週間後、雨…
  • 9
    中国レアアース輸出規制強化...代替調達先に浮上した…
  • 10
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 7
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 10
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中