参院選は7月11日生まれの「17歳」も投票できます
この説明に対して「わかったようで、どうも、よくわからん」という感想を抱いた方も多いのではないだろうか。だとしたら恐縮である。説明している私自身が、(理屈の流れはともかく)この結論を感覚的に受け止めきれていないからだろう。
とはいえ、選挙権が「18歳の誕生日の前日」に与えられるという結論自体は、この国の最高裁判所が正式に出した判例(最高裁判所第一小法廷1980年2月14日判決 昭和54(行ツ)第67号/原審:大阪高等裁判所1979年11月22日判決 昭和54(行ケ)第2号)であり、選挙管理委員会も実際にそのような運用で選挙実務を進めている。
たしかに違和感はある。だが、わざわざ法律を変えてまで修正すべき違和感でもない。この程度のズレで済んでいるなら、可愛いものかもしれない。常識と法律がもっと派手に食い違っている例は他にもあるはずだ。
なぜ「18歳」に引き下げられたか
世界でも屈指の速度で少子高齢化が進んでいく日本で、選挙権年齢が「20歳以上」のままならば、若者票の割合が年々減少し、「シルバー民主主義」の流れに歯止めが利かなくなってしまう。
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米国の統計学者、ポール・ドメイン氏は、生まれたばかりの赤ん坊から選挙権を与えて、親が投票を代行することを認める「0歳選挙権」を提唱する。少子高齢化で生じた参政権のアンバランスを抜本的に是正しようとするアイデアだが、実現へのハードルは高い。子どもを持つ家庭にのみ、実質的な複数投票を認める不公平感を訴える意見もあるし、代行可能な選挙権は悪用されるリスクもある。
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やはり、「選挙権年齢の引き下げ」によって、若い有権者を拡大することが現実的な対策だ。では、なぜ「19歳」でも「17歳」でもなく、「18歳」なのだろうか。
ただ単に、世界の9割近くの国で、すでに選挙権年齢は「18歳以上」という基準が当然のものとされていて、日本もそれに追随したにすぎない。
「12インチで1フィート」「12個で1ダース」のように、12進法が主流の欧米では、しばしば「3の倍数」が切りのいい数字として重宝される。「18歳」もその一環なのかもしれないが、もちろん絶対的な基準ではない。オーストリアやブラジルなど、「16歳選挙権」が導入されている国もある。アジア諸国では、インドネシアは「17歳」、韓国は「19歳」、シンガポールやマレーシアは「21歳」などどなっている。
それぞれの国において、年齢ごとにできることとできないことを精査し、全体としてバランスを調整しながら、選挙権年齢を検討すべきなのかもしれない。