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アメリカ社会トランスジェンダーめぐる「トイレ法」、米政府と州が互いに訴訟へ
全米各地で巻き起こる「反LGBT法」をめぐり、問題は司法の場へ
誰がためにこのトイレはある 5月9日、米司法省は、トランスジェンダーが政府や学校の施設で出生証明書に記載された性別のトイレを使用するよう規定したノースカロライナ州の新法が、1964年制定の公民権法に違反するとして、同州の連邦地裁に提訴した。写真はカリフォルニア州で2014年9月撮影(2016年 ロイター/Lucy Nicholson)
米司法省は9日、トランスジェンダー(心と身体の性が一致しない人)が政府や学校の施設で出生証明書に記載された性別のトイレを使用するよう規定したノースカロライナ州の新法が、1964年制定の公民権法に違反するとして、同州の連邦地裁に提訴した。
これに対し、同州のマクローリー知事(共和党)と州当局も司法省を提訴し、政府の対応は「正当な理由がなく、甚だしい行き過ぎ」と非難している。
「トイレ法」と呼ばれるこの州法は3月に成立したが、LGBT(レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー)に差別的だと、大企業やエンターテイメント、スポーツなど各界で反発する動きが出ている。
リンチ司法長官は9日の記者会見で、「州が個人のアイデンティティーの領域に立ち入ることは、われわれの誰もが支持できない」とし、ノースカロライナ州への補助金削減も「選択肢としてある」と述べた。
一方、マクローリー知事は訴状の中で、州法は「常識的なプライバシーに関する政策だ」と主張している。