最新記事

軍備

自動運転の米「ロボット軍艦」が試験運航へ、中ロに対抗

5年以内には西太平洋やペルシャ湾で無人艦隊が活動か

2016年4月10日(日)14時37分

4月7日、米軍は、敵の潜水艦を探知する目的で試作された自動運転による軍艦の進水式を行った。米オレゴン州で撮影(2016年 ロイター/Steve Dipaola)

 米軍は7日、敵の潜水艦を探知する目的で試作された自動運転による軍艦の進水式を行った。中国とロシアの海軍増強に対抗する米軍戦略の中核である無人戦の大きな進歩を示すものだ。

「シーハンター」と呼ばれるこのプロトタイプは、全長約40メートルで武器は装備していない。グーグルの自動運転車の軍艦バージョンのようなもので、搭乗員や遠隔操作なしで1度に数カ月間、海上を巡航できるよう設計されている。

 有人の艦船にかかる費用の何分の1かで、このような運航期間と自律性を備えた潜水艦探知の軍艦を造れるというのはかなり効率的である。

「これは転換点となる」とワーク米国防副長官はインタビューで述べ、「われわれが初めて建造した完全なロボットによる、海洋横断可能な艦船だ」と語った。また、5年以内にこのような軍艦を西太平洋に派遣できることを期待していると述べた。

 ワーク副長官のような国防総省の政策立案者にとって、シーハンターは、ますます自律性の高まる無人機を、従来の陸海空軍力に組み込むという戦略と合致するものだ。

 米政府内ではちょうどこの時期、潜水艦隊を含む中国の海軍増強をめぐり、西太平洋で米軍の優位を保つうえで決定的に重要な空母戦闘群と潜水艦の脆弱(ぜいじゃく)性に関する懸念が高まっていた。

「対潜水艦(技術)に取り組んでいるのは、中国とロシアがこの分野で進歩を遂げていることを大いに懸念しているからだ」と、米シンクタンク、ニューアメリカ財団の無人戦専門家で作家のピーター・シンガー氏は指摘する。

 ワーク副長官は、シーハンターが安全だと証明されれば、日本に駐留する米海軍第7艦隊に派遣し、試験を続ける可能性に触れた。

 ワーク副長官の目標は、人による監視を制限した状況下で、シーハンターのような艦船を対地雷作戦のような任務をも含むさまざまな作戦につかせることだという。「5年以内に、西太平洋やペルシャ湾で無人艦隊が活動するのを見たい」と同副長官は語った。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

COP29、会期延長 途上国支援案で合意できず

ビジネス

米債務持続性、金融安定への最大リスク インフレ懸念

ビジネス

米国株式市場=続伸、堅調な経済指標受け ギャップが

ビジネス

NY外為市場=ドル上昇、米景気好調で ビットコイン
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 2
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 3
    北朝鮮は、ロシアに派遣した兵士の「生還を望んでいない」の証言...「不都合な真実」見てしまった軍人の運命
  • 4
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 5
    ロシア西部「弾薬庫」への攻撃で起きたのは、戦争が…
  • 6
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」…
  • 7
    「このまま全員死ぬんだ...」巨大な部品が外されたま…
  • 8
    プーチンはもう2週間行方不明!? クレムリン公式「動…
  • 9
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱…
  • 10
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 3
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査を受けたら...衝撃的な結果に「謎が解けた」
  • 4
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 5
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
  • 6
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 7
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 8
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 9
    クルスク州の戦場はロシア兵の「肉挽き機」に...ロシ…
  • 10
    沖縄ではマーガリンを「バター」と呼び、味噌汁はも…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 4
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大き…
  • 5
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 6
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 7
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 8
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 9
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
  • 10
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中