最新記事

日本人論

【まんが】日本人が宗教に頼らず道徳を身につけられるワケ

2016年4月7日(木)15時57分

②神道

 日本の神道で崇拝される神さまは、自然を含む多くの事物で、「八百万の神」と呼ばれます。また、天照大神(あまてらすおおみかみ)をはじめとする神々は、日本人の祖先でもあります。ゆえに神道の教えの中心は、自然崇拝(自然を敬うこと)と祖先崇拝(祖先を敬うこと)だと新渡戸はいいます(これについては諸説あります)。

 自然崇拝からは国土を愛する気持ちが生じます。また天照大神は天皇家の始まりなので、祖先崇拝は天皇への忠誠心につながります。このような愛国心と忠誠心を、武士道は神道から学んだのでした。

③儒教

 新渡戸によると、武士道に最も大きな道徳的影響を与えたのは儒教でした。儒教とは、孔子(前552(?)~前479年)によって創始された、中国に起源をもつ思想です。

 孔子の教えを受け継いだ孟子(前372(?)~前289(?)年)は、「親(しん)」(父と子の関係)・「義」(主君と臣下の関係)・「別」(夫と妻の関係)・「序」(年上と年下の関係)・「信」(友人どうしの関係)を大事にするよう説きました。これを「五倫」といいます(新渡戸は孔子の思想として紹介していますが、おもな提唱者は孟子でした)。とくに主君と臣下の関係は、武士道の思想の最も大切な基本となりました。

 孔子・孟子にもまして武士道に大きな影響を与えたのは、「知行合一(ちこうごういつ)」を説いた王陽明(1472~1528(?)年)の陽明学です。

「知行合一」とは、考えることと行動することが食い違ってはいけない、思考と行動とを一貫させなければならないという教えです。

 武士道は抽象的な哲学ではなく、サムライたちの行動ルールやマナー規範なので、このような実践的な教えと相性がよいのです。

 以上、武士道の「源泉」としての仏教、神道、儒教を見てきました。複雑で奥深いこれらの思想のそれぞれから、よいエッセンスをうまく吸収して、武士道はサムライという独特な人間像を作り上げたのでした。

※シリーズ第1回【まんが】日本人の礼儀正しさは「武士道」から来ている?
※シリーズ第2回【まんが】『武士道』を書いたのはキリスト教徒だった
※シリーズ第3回【まんが】「武士道」の原点は戦闘時のフェア・プレイにある

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

UAE、対イラン軍事行動で領空使用許可せず 中立性

ワールド

米・ロ・ウの三者協議、軍事・政治問題巡り議論=ゼレ

ビジネス

USAレアアース株、一時26%上昇 米政府の16億

ワールド

イスラエル軍、ガザ最後の人質の遺体を収容
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:高市 vs 中国
特集:高市 vs 中国
2026年2月 3日号(1/27発売)

台湾発言に手を緩めない習近平と静観のトランプ。激動の東アジアを生き抜く日本の戦略とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」と「フリース」に移った日
  • 2
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コングスベルグ社のNSMにも似ているが...
  • 3
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡張に新たな対抗手段
  • 4
    【銘柄】「住友金属鉱山」の株価が急上昇...銅の高騰…
  • 5
    「外国人価格」で日本社会が失うもの──インバウンド…
  • 6
    「20代は5.6万円のオートロック、今は木造3.95万円」…
  • 7
    中国、軍高官2人を重大な規律違反などで調査...人民…
  • 8
    私たちの体は「食べたもの」でできている...誰もが必…
  • 9
    老化の9割は自分で防げる...糖質と結び付く老化物質…
  • 10
    外国人が増えて治安は悪化したのか
  • 1
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡張に新たな対抗手段
  • 2
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」と「フリース」に移った日
  • 3
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コングスベルグ社のNSMにも似ているが...
  • 4
    データが示す、中国の「絶望的な」人口動態...現実味…
  • 5
    ラブロフ、グリーンランドは‌デンマーク​の「自然な…
  • 6
    【銘柄】「古河機械金属」の株価が上昇中...中国のレ…
  • 7
    ニュージーランドの深海に棲む、300年以上生きている…
  • 8
    完全に「ホクロ」かと...医師も見逃した「皮膚がん」…
  • 9
    40代からは「積立の考え方」を変えるべき理由──資産…
  • 10
    麻薬中毒が「アメリカ文化」...グリーンランド人が投…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 5
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 6
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 7
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 8
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
  • 9
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 10
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中