最新記事

日本人論

【まんが】『武士道』を書いたのはキリスト教徒だった

2016年4月5日(火)10時55分

 新渡戸もここでキリスト教の洗礼を受けます。同級生には、のちに世界で活躍するキリスト教思想家の内村鑑三(1861~1930年)がいました。クラーク博士の精神を受け継いで日本の発展に大きく貢献した新渡戸や内村らは、「札幌バンド」とも呼ばれます(「バンド」とは「人の集まり」という意味です)。

 札幌農学校を卒業した新渡戸は、「太平洋の懸橋」になって日本と西洋をつなぎたいと考え、アメリカやドイツに留学しました。彼の学問的実績は次第に、国内外で認められていきます。

mangaBushido_chart2b.jpg

『まんがで人生が変わる! 武士道――世界を魅了する日本人魂の秘密』より

 また新渡戸は、アメリカで出会った女性メアリー・エルキントン(1857~1938年)と結婚しました。メアリーは新渡戸萬里子(萬里、万里などの記録もあり)の日本名になり、のちに日本で、貧しい子どもたちや動物を救う活動を行うことになります。

『武士道』は、なぜ世界中で熱狂的に読まれたのか?

 1895年、世界中が日本に注目する出来事が起きました。

 日本が中国との戦争(日清戦争、1894~1895年)に勝ったのです。近代化したばかりのちっぽけな「劣等国」にすぎない島国日本が、どうして巨大な中国との戦争に勝てたのか? 世界中が驚愕し、不思議がりました。

 まさにそのタイミングで、新渡戸稲造の本『武士道』が、アメリカで出版されます。1900年(1899年との説もあり)のことです。

 新渡戸はこの本をとおして、西洋の人たちに日本人のことをしっかりと知ってもらおうと考えていました。

【参考記事】どうして日本人は「ねずみのミッキー」と呼ばないの?

 西洋から見れば遅れた野蛮な国だと思えるかもしれないけれども、日本人はけっしてレベルの低い民族などではない。日本には独自の精神があって、それは西洋の精神と比べて勝るとも劣らない。――そう伝えるため、新渡戸は世界に対して、日本人を象徴する「サムライ」という人物像を示し、そこに自分の理想を込めたのです。しかも西洋人にわかりやすいよう、西洋の思想との類似点を丁寧に挙げながら。

 日本人の強さの秘密を知りたいと思っていた西洋人たちは、こぞってこの本を読みました。そして日本に根づいた、独特の洗練された倫理観や道徳観に感嘆しました。現在の言葉でいうと、『武士道』はグローバルなベストセラーになったのです。アメリカ大統領セオドア・ルーズベルト(1858~1919年)は多忙な中、『武士道』を徹夜で読みふけったといいます。

 あなたもだんだんと、『武士道』の内容が気になってきたのではないでしょうか?

 それでは次章から、『武士道』の中身を学んでいきましょう。

※シリーズ第1回【まんが】日本人の礼儀正しさは「武士道」から来ている?
※シリーズ第3回【まんが】「武士道」の原点は戦闘時のフェア・プレイにある

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

イエメン・フーシ派、イラン情勢巡り軍事介入の用意 

ビジネス

NY外為市場=ドル160円台、中東緊迫で「有事の買

ビジネス

米国株式市場=大幅続落、ダウ調整入り 中東情勢巡る

ワールド

イラン、米停戦案への回答保留 攻撃下の対話要求「容
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:BTS再始動
特集:BTS再始動
2026年3月31日号(3/24発売)

3年9カ月の空白を経て完全体でカムバック。世界が注目する「BTS2.0」の幕開け

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ヘンリー・メーガン夫妻の豪州訪問に3万6000人超の反対署名...「歓迎してない」の声広がる
  • 2
    中国最大の海運会社COSCOがペルシャ湾輸送を再開──緊張緩和の兆しか
  • 3
    ロシア経済を支える重要な港、ウクライナのものと思われるドローンの攻撃を受け大炎上
  • 4
    映画『8番出口』はアメリカでどう受け止められた?..…
  • 5
    ウィリアム皇太子が軍服姿で部隊訪問...「前線任務」…
  • 6
    「俺たちはただの人間だ」――BTSが新アルバム『ARIRAN…
  • 7
    日本経済にとって、円高/円安はどちらが「お得」な…
  • 8
    ニュースでよく聞く「東京外国為替市場」は、実際は…
  • 9
    アメリカのストーカー対策、日本との違いを考える
  • 10
    親の遺産はもう当てにできない? ベビーブーム世代…
  • 1
    【銘柄】「三菱商事」の株価に高まる期待...ホルムズ海峡封鎖と資源価格高騰が業績を押し上げ
  • 2
    ヘンリー・メーガン夫妻の豪州訪問に3万6000人超の反対署名...「歓迎してない」の声広がる
  • 3
    レストラン店内で配膳ロボットが「制御不能」に...店員も「なすすべなし」の暴走モード
  • 4
    三笠宮彬子さまも出席...「銀河の夢か、現実逃避か」…
  • 5
    メーガン妃、娘リリベット王女との「お手伝い姿」公…
  • 6
    中国の公衆衛生レベルはアメリカ並み...「ほぼ国民皆…
  • 7
    イランは空爆により核・ミサイル製造能力を「喪失」…
  • 8
    【クイズ】2年連続で「世界幸福度ランキング」で最下…
  • 9
    作者が「投げ出した」? 『チェンソーマン』の最終…
  • 10
    まずサイバー軍が防空網をたたく
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 5
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 6
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 7
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 8
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 9
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 10
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中