「不動産王」トランプ、投資運用の成績さえず判断力に疑問符
専門家は「トランプ氏は投資家としては凡庸」
3月24日、米大統領選の共和党候補指名を目指すドナルド・トランプ氏は、実業家としての判断力を強みとしてアピールしている。写真はマイアミで10日撮影(2016年 ロイター/Carlo Allegri )
米大統領選の共和党候補指名を目指すドナルド・トランプ氏は、実業家としての判断力を強みとしてアピールしている。ただロイターの調査によると、同氏が投資したファンドの一部は運用成績がさえず、過去1年3カ月はベンチマークをアンダーパフォームしていることが分かった。
ロイターが開示書類などを基に調べたところでは、同氏のポートフォリオのヘッジファンド、投資信託21本のうち18本は2015年のリターンがマイナスで、今年も17本がマイナスに落ち込んでいる。
ロイターの調べによると、同氏のファンドのリターンが昨年、平均で8.5%のマイナスだったの対して、株式市場とヘッジファンド業界のベンチマークはトントン、もしくはそれに近い成績を確保している。同氏ファンドのリターンは今年も、現時点で2.9%のマイナスとなっており、またもやベンチマークの多くをアンダーパフォームしている。
ここ1年3カ月は、投資環境が厳しかったことは確かだ。株式市場が動揺し、原油やコモディティー(商品)価格も下落、中国経済が鈍化するなか、多くのポートフォリオマネジャーらは運用に苦慮していた。
トランプ氏はロイターのインタビューで、ファンドに投資したのは3、4年前であり、長期的には成績は良いとして、自らの投資を擁護。
同氏は21日、電話でのインタビューに応じ「運用は友人に任せてある」「成績が上がっているのか、下がっているのか、私は知らない。長期的には非常に良い、ということを知っているだけ」などと述べた。
トランプ氏、意に介さず
ロイターが今回調べたトランプ氏のファンドは、同氏が昨年、連邦選挙委員会(FEC)に開示した23本のうちの21本。ロイターは、このうちの2本については、運用成績を把握することができなかった。
トランプ氏は、ロイターとのインタビューで、これらのファンドは投資ポートフォリオのほんの一部にすぎない、と述べたうえで「私はヘッジファンドはあまりやらない。信じていないからだ」としている。