最新記事

インタビュー

ノイズこそ大切に守るべき創造性の種

2016年3月24日(木)10時55分
WORKSIGHT

wsSmartNews_4.jpg

集中エリア。部屋ごとに壁の色を変えており、気分に合わせてブースを選べる。

壁一面のホワイトボードがスケールの大きな議論を生み出す

 創造性向上の面での課題の2つ目は、ホワイトボードの不足です。以前のオフィスでは議論の際にボードを求めて移動しなければいけないのが不便で、何よりボードの大きさは議論のスケール感に影響を与えます。小さいスペースに書いていくと、数式やアイデアを拡張できないので話も小さいスケールに留まってしまう。

 そこで新しいオフィスではアイデアペイントを塗って壁や柱をホワイトボード化して、議論の場所やスケールに制約を持たせないようにしました。実際、どこでも議論ができるようになったし、話をどんどん拡張できるようにもなって、社員のクリエイティビティはより深化していると感じます。

"どこでもホワイトボード"のアイデアは、アメリカのサンタフェ研究所にならっています。以前、この研究所を訪れたとき、いたるところにホワイトボードやペンで書けるガラスがあって、研究者たちがあちこちで活発に議論していました。これはすごい、いつかそういうホワイトボードだらけの空間を作りたいと思っていた。それがようやく実現した形になりますね。

状況に応じて役割を変える、なめらかなオフィス

 もう1つ、僕らは良質なコンテンツを配信することをミッションにしているので、社内でも新聞や雑誌など紙のコンテンツに触れる機会を増やしたかった。これも課題でした。

 以前のオフィスでも新聞や雑誌をマガジンラックに置いていましたけど、あまり手に取られていなかったんです。そこでニューススタンドの形にして、食べ物や飲み物を物色するように頻繁に立ち寄って手に取る場所を作りました。これも効果はあって、紙媒体に触れる頻度が上がったと感じています。

 どこからでもアクセスできない場所を作りたくない、分野をまたいで社員の交流を促したいという思いから、オフィス全体に仕切りがほとんどありません。壁を設けるのでなく、カーペットの色を分けることでゆるやかにゾーニングしています。

 そして、1つのスペースが複数の役割を兼ねています。例えばフリースタイルゾーンは自由なワークスタイルの場であり、フラットな議論の場であり、時にはストレッチや軽い運動の場にもなります。フリーアドレスのスペースも、打ち合わせや来客応対に使ったりします。エリアとエリアがなめらかにつながり、その時に応じて役割を変えたり、拡張・縮小したりする。いわば、なめらかなオフィスです。

wsSmartNews_5.jpg

3つあるフォンブース。スカイプで海外のオフィスとやりとりするほか、英会話学習や集中作業の部屋と しても活用されている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ECB預金金利、夏までに2%へ引き下げも=仏中銀総

ビジネス

米石油・ガス掘削リグ稼働数、6月以来の高水準=ベー

ワールド

ローマ教皇の容体悪化、バチカン「危機的」と発表

ワールド

アングル:カナダ総選挙が接戦の構図に一変、トランプ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ウクライナが停戦する日
特集:ウクライナが停戦する日
2025年2月25日号(2/18発売)

ゼレンスキーとプーチンがトランプの圧力で妥協? 20万人以上が死んだ戦争が終わる条件は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 3
    メーガン妃が「アイデンティティ危機」に直面...「必死すぎる」「迷走中」
  • 4
    深夜の防犯カメラ写真に「幽霊の姿が!」と話題に...…
  • 5
    1888年の未解決事件、ついに終焉か? 「切り裂きジャ…
  • 6
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 7
    ソ連時代の「勝利の旗」掲げるロシア軍車両を次々爆…
  • 8
    トランプが「マスクに主役を奪われて怒っている」...…
  • 9
    私に「家」をくれたのは、この茶トラ猫でした
  • 10
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 3
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 4
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 5
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 6
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 7
    7年後に迫る「小惑星の衝突を防げ」、中国が「地球防…
  • 8
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 9
    「トランプ相互関税」の範囲が広すぎて滅茶苦茶...VA…
  • 10
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 4
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 7
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 8
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 9
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果…
  • 10
    「DeepSeekショック」の株価大暴落が回避された理由
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中