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中国社会「香港人は犬」発言で中国への怒り爆発
返還後15年、大陸中国と香港は1つになるどころか互いに反感を募らせてきた
「二級市民」扱い ドルチェ&ガッバーナの店舗前で、差別的な待遇に抗議する香港市民(1月) Bobby Yip-Reuters
香港が中国に返還されてから15年。一見すると些細な出来事によって、今なお消えない中国本土と香港の緊張関係が浮き彫りになった。
事の発端は、香港の地下鉄内で中国人観光客の女性が子供に菓子を食べさせていたこと。香港の地下鉄では車内などでの飲食が禁じられているため数人の乗客が注意をしたところ、激しい口論へと発展した。この時の様子を撮影した映像がインターネットに公開されると、ある中国の学者が香港人を「大英帝国の犬」で「いかさま師」だと非難する発言をした。
過激発言をした北京大学の孔慶東(コン・チントン)教授は、孔子の末裔を自称する人物。彼は中国のネット番組の中で、「私が知る限り、香港の多くの人々は自分を中国人だと見なしていない。この手のやつらはずっと、イギリスの植民地支配の犬どもだった。彼らは人間ではない。犬だ」とぶちまけた。
この発言は香港の怒りに火をつけた。中国中央人民政府の出先機関である駐香港連絡弁公室の周囲には、講義のため多くの人々が集結。彼らは孔の発言を非難し、犬を連れて行進した。
この地下鉄の一件は、中国語(標準語)を話す中国本土の人々と、そんな本土の人々の振る舞いを粗野だと感じている広東語の香港人との間の文化的な摩擦を際立たせた。
香港の人々の怒りに火をつけた事件はもう一件あった。イタリアの高級ブランド、ドルチェ&ガッバーナのある店舗が、香港の地元住民に店内の写真撮影を禁ずる一方で、中国本土の人々や外国人には撮影を許していたことだ。地元住民はこれに対し、本土の金持ちを優遇する差別的行為だと反発。1000人以上が抗議に詰めかけ、店舗営業は一時停止に追い込まれた。ドルチェ&ガッバーナは香港住民に謝罪した。
香港返還から15年がたった今も、香港の人々は自分たちを本土の中国人とは別ものだと考えている。香港大学の最近の調査によれば、回答者の中で自らを「香港市民」と認識する人の割合は過去10年でもっとも高くなっている。一方で自分が「中国人」であると考えている人は、過去12年で最低の割合となった。