新興国の安保理入りが脅かすアメリカの地位
今回の選挙で多数の新興国がメンバー入りし、安保理の力学が変化したことは、「アメリカの役割が以前ほど強力ではない」新たな世界秩序を反映していると、キーティングは言う。だが同時にこうも指摘する。「アメリカがその気になれば、リーダーシップを発揮できる機会は今もたくさんある。結局のところ、アメリカはこれまで、重要な問題を解決できる力があることを身をもって示してきたのだから」。
その例として彼が挙げるのは、アメリカ主導で実現した対北朝鮮制裁や、結局は採択された6月のイラン制裁などだ。
それでも、イラン制裁をめぐる一件は、アメリカや他の大国にとって大きな教訓になったと、キーティングは主張する。「もしもトルコやブラジルが早い段階から重要なパートナーとして認められ、話し合いに参加していたのなら、彼らがイランとの仲介役を務めようと躍起になることもなかっただろう」
さらにキーティングはこう分析する。おそらく、「そこから得られた教訓は、彼らを重要なパートナーとして参加させるべきだ、ということだ。常任理事国の全5カ国はこれから、安保理入りした強力な新興国グループとどうやって付き合っていくのかを考えなければいけなくなるだろう。それは11年の1年間だけではない。今後長きにわたってだ」