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米中関係

猛威振るう「チャイナ・ファースト」思想

2010年2月18日(木)18時03分
ロバート・サミュエルソン(本誌コラムニスト)

 中国は世界各地で天然資源(特に燃料)確保のための投資を行なっている。ジャクスによれば、中国の「経済改革」の動機は「西欧化」ではない。「(共産)党の正統性を回復させたいという欲求」だ。

「見込み違い」のツケは大きい

 米中間の対立は多くの場合、国際社会の目標のために国内的な目標を危うくすることへの中国側の躊躇を反映している。温室効果ガス削減の義務的な目標設定に消極的だったのも、経済成長、ひいては雇用にマイナス影響を与えかねないからだ。

 イラン問題で言えば、中国にとっては核開発への懸念よりも自国のイランへの石油投資のほうが大きな問題だからだ。同様に、中国は北朝鮮で混乱が起きて難民が国境を越えて押し寄せることを懸念している。台湾は中国の一部だと考えているから、アメリカの武器輸出は内政干渉ということになるし、ネット検閲は一党支配を維持するのに欠かせない。

 中国の世界観はアメリカの地政学的・経済的利益を脅かしている。

 先日も、アメリカの19の業界団体はオバマ政権に対し「自国の技術革新」をめぐる中国の新たな規則について警告する書簡を送った。この規則によって、中国市場から「多くのアメリカ企業が締め出され」たり、先進技術を中国に引き渡すことを強制されたりする可能性があるというのだ。

 2つの超大国が互いを敵視するなど悲劇だが、時代の流れはそちらに向かっている。2000年の文化的伝統の継承者であり、世界最大の国の市民たる中国人は、他より自分たちのほうが優れているという気持ちを生まれつき抱いているとジャクスは言う。

 アメリカ人もそうだ。自由や個人主義、民主主義を尊ぶアメリカの価値観は、世界共通の目標でもあると考えているからだ。

 国のエゴ同士のさらに大きな衝突は避けられそうにない。中国の貿易政策や為替政策のためにアメリカや世界の雇用が危険にさらされているのを、もはや座視してはいられない。2国間の政治的な違いに目をつぶっていることは、ますます難しくなっている。

 だが中国の力が強まるなか、また世界経済の不安定な現状を見ても、米中の決定的な対立は誰にとっても利益にならない。見込み違いをしたせいで、われわれは暗い小道へと迷い込もうとしている。

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