相撲人口の半分は女性、ブラジルで女性力士が増加している理由とは?
2022年7月、アラバマ州で行われた「ワールドゲームズ」でブラジルのリシアナ・ワタナベがドイツのシュテファニー・スタインメッツを破る Alex Bogatyrev-shutterstock
<日本からの移民が持ち込み、ブラジルで根付いた相撲。戦い方次第では体格差を克服できる面白さと、「ルッキズム」が強いブラジルだからこそ...>
サンバやサッカーのイメージが強いブラジルで、日本の国技である相撲の人気が高まっている。ただし女性の間で。
相撲は20世紀初頭、労働力不足を補うためにブラジルへ渡った日本の移民が持ち込んだ。男女両方の参加が必要なオリンピックの正式種目化を目指し、ブラジルでは日本と連携して1990年代後半に女子相撲が本格的に広がっていった。
現在、国内には約600人の力士がいるとされ、その約半数が女性だという。競技人口は今も拡大している。力士と聞くと、大きくがっしりした男性の姿を思い浮かべるだろう。女性は小柄でか弱く、相撲に向いていないという偏見はブラジルでもいまだに根強い。
だが土俵では体の強さだけでなく、俊敏さや戦術も求められ、戦い方次第で体格差は克服できる。ルッキズム(外見重視主義)が強いブラジルで、体形や見た目に自信が持てない女性も、土俵の上では自身の悩みを強みとして肯定できる。
もともとブラジルでは柔道などの武術が盛んで、女子相撲への転向者も少なくない。必要品はまわしぐらいで経済的な負担が少なく、民族や階層を問わず始めやすいようだ。