初のダウン症モデル起用、ヴィクシー製品が抱える問題は解決するのか?
ヴィクトリアズ・シークレット復活への重要な節目
ランジェリー業界のトップを走り、毎年世界中が注目するランジェリーショーを開催していたヴィクトリアズ・シークレットだが、長年起用してきた「エンジェル」と呼ばれるモデルたちは、背が高く痩せている人たちばかり。
さらに、商品が売れなきゃ話にならないのに、リアルな女性の声は微妙だった。「ビクトリアズ・シークレットのブラジャーはおしなべて私の胸には小さ過ぎた。たとえサイズが合う製品があったとしても、パッド入りで胸を持ち上げるタイプのものばかり。私のニーズには合わなかったし、着け心地にも難があった」と。
ブランドの掲げる"理想の女性像"とリアルな世界はかけ離れすぎた。署名活動サイトのチェンジ・ドット・オーグでは2019年、ビクトリアズ・シークレットに対し「製品ラインにプラスサイズを加えてください」と呼び掛ける運動が起きた。そうこうする中で、プラスサイズモデルや様々な人種のモデルを起用するなど改革を進め、2021年にブランドと経営陣の大幅な見直しと「エンジェル」を解散し、その後任となる新たなアンバサダーとして9人の女性を演出し「VS コレクティヴ」を発表。プロテニスプレーヤーの大坂なおみも選ばれた。
企業努力もあってか、最近では多少なりともモデルの多様化を図りつつ、サイズ展開を広げようとしている。ブラジャーでは従来のDDDより1つ上のGまで、水着も最大LだったのがXLまでというふうに。だが、それでも現実のアメリカ女性のサイズを考えればまだ小さい。「VS コレクティヴ」のメンバーであるモデルのパロマ・エルセッサー(Paloma Elsesser)はニューヨーク・タイムズに対し、サイズ展開をXXXXXLまで広げるよう働き掛けるつもりだと明言している。
今年1月に就任した新ヘッド・クリエイティブ・ディレクターのラウル・マルティネス氏は、ラブ・クラウドは「ブランドの進化の中で、重要な節目だ」と力を込める。
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