この春花粉症デビューした人は要注意 リンゴやトマトでもアレルギー反応出るかも
花粉症の人たちの中にはリンゴでアレルギー反応を起こすことも。Juanmonino - iStockphoto
<コロナパンデミックのおかげで目立たないが、毎年春先は花粉症の季節。そろそろスギ花粉のピークは終わるが、それで安心とはいかない人もいる......>
日本では全国平均で15%強が花粉症にかかっており、スギ花粉によるものが圧倒的に多い。ヨーロッパでも花粉症はみられ、ドイツ語圏でも日本と似た疾患率だ。ドイツではほぼ15%(約1250万人)、スイスでは約20%(約170万人)、オーストリアでは13~15%(約115万~130万人)が花粉症を患っているといわれる。春先、「花粉症用の薬あります」と宣伝する薬局は多い。
これら3カ国では、樹木ではシラカンバ、草類ではイネ科、薬草類ではヨモギがとくに花粉症の原因となっていて、シラカンバは4月を中心に飛散する。日本では北海道にシラカンバ花粉症が多くみられる。
花粉症のせいで果物まで食べられなくなる?
最近、日本では、花粉症が出る人が特定の果物や野菜を食べると口や喉にアレルギー反応を起こす「花粉食物アレルギー症候群」についてよく報道されている。特定の果物や野菜に含まれるたんぱく質が花粉のたんぱく質とよく似ており、口から花粉が進入したと思って体が反応してしまうのだという。
どの花粉に反応するかによって、アレルギー症状が出る食べ物は異なる。春の花粉、たとえばハンノキやシラカンバに反応する人は、リンゴ、モモ、大豆などが原因に、スギやヒノキで花粉症になる人はトマトが原因になるそうだ。
それらの食べ物は加熱したり発酵したりするとアレルギー症状が出ないため、まったく食べられないわけではないが、いまのところ、明確な治療法はないという。
ドイツ語圏3国では、花粉と関連するリンゴアレルギーの人たちの治療や、アレルギーを起こしにくいリンゴの品種開発が進んでいる。
リンゴを少しずつ食べて慣らす治療法
リンゴは、ドイツ語圏3カ国で1番人気がある果物だ。リンゴジャムやリンゴケーキとして食べる人ももちろんいるが、皮をむかず生で食べる人たちも多い。花粉食物アレルギー症候群を理由にリンゴが食べられない人は、リンゴをかじれないことで悔しい思いをしているかもしれない。
そんなリンゴアレルギーを、原因となるリンゴを使って治療しようという動きがある。リンゴを少しずつ食べていくことで、リンゴへの耐性をつける経口免疫療法だ。うまくいけば、シラカンバなどの花粉症も抑えられる。
日本でも食物アレルギーの経口免疫療法 食物アレルギーの経口免疫療法の研究は進められているが、リンゴについてはあまり聞かないのではないか。オーストリアのインスブルック医科大学やインスブルック大学などが昨年まで行った臨床試験では、よい結果が得られた。