「プチ断食」に期待される減量だけでない効用
Healthy Fasting
「飽食」の文化が妨げに
ある研究では、若いラットに1日おきに断食させたところ、平均寿命が1・8倍に延びた。1934~2012年の研究データを集約すると、カロリーを制限した場合、ラットの寿命が14~45%、マウスの寿命が4~27%延びているという。
人間を対象にした実験では、間欠的断食と、肥満、糖尿病、高血圧の改善の間に関連性が見られている。
断食の効果は、カロリー制限による直接の恩恵だけにとどまらない。ある研究によれば、高齢者が言葉を記憶する能力が改善したという。別の研究では、太り過ぎで軽度認知機能障害(MCI)の成人の思考能力が改善した。
日本の沖縄県でこの食事法を実践している人たちは、肥満と糖尿病の割合が低く、平均寿命も長い。心臓病患者やある種の癌の患者に好ましい影響を及ぼし、アルツハイマー病を予防し、喘息の症状を和らげる効果を示唆する研究もあるという。
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素晴らしい効果がありそうに見えるが、ほとんどの人はこの種の食事法を実践しない。1日3回の食事をし、それに加えて間食まで取る習慣が染み付いているのだ。
そうしたライフスタイルが私たちの文化に深く根を張っているため、「患者や医師もほとんど疑問に思わない」と、マトソンらは論文で記している。「豊かな国では、飽食と(食品メーカーによる)猛烈なマーケティングの影響も妨げになっている」
断食すると、空腹に苦しんだり、イライラしたり、集中力が減退したりする人もいる。しかし、マトソンらによれば、そのような悪影響は1カ月もすれば解消する。
間欠的断食の実践を段階的に進めてもいいだろう。1日のうちで食事を取る時間帯をだんだん狭めていったり、4カ月くらいかけて摂取カロリーを減らしていったりすることもできる。
成功のためのコツとは
ただし、注意すべきなのは、これまでの研究が主として太り過ぎの若者や中年を対象にしていることだ。もっと幅広い層の人にも間欠的断食が有効で安全かを確認するためには、さらに研究を重ねなくてはならないと、マトソンらは指摘している。
それに、ある種の持病を患っている人や過去に摂食障害を経験した人は、間欠的断食を避けたほうがいいかもしれない。該当する人は、まず主治医に相談すべきだろう。
太り過ぎの人、糖尿病や心臓病のある人とそのリスクが高い人、関節炎や喘息や多発性硬化症などの人は「間欠的断食の恩恵がある可能性が高い」と、自らも20年ほど間欠的断食を実践しているマトソンは本誌に語っている。
間欠的断食を行う場合は、水をたっぷり飲むこと、ヘルシーな食べ物(野菜や果物、ナッツ、全粒穀物、魚、赤身 肉、ヨーグルトなど)を取ること、糖分と塩分、揚げ物を避けることが望ましいと、マトソンは説明する。
間欠的断食への転換を成功させるコツはあるのか。
「配偶者やパートナー、職場の友人などと一緒に取り組むといい」と、マトソンは言う。「1人より誰かと一緒のほうが長続きしやすいのは、エクササイズと同じだ」
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[2020年1月21日号掲載]