アメリカの医療保険制度は最高だ!
議論を始めてからまだたった97年
現状のうちでも最高なのは、医者がサービス単位で支払いを受ける仕組みだ。医者は、処置の一つ一つに対して支払いを受ける。自動車販売員が、車を売った対価ではなく、ハンドルを握ったりブレーキを踏んだりするたびにコミッションを受け取るようなものだ。近所のショッピングセンターで開業しているクリニックの医療のほうが、医者が給与ベースで働いているメイヨー・クリニックやスローン・ケタリング記念癌センターなどの大病院よりはるかに優れているのもそのおかげだ。誰がこのシステムを壊したがるだろうか。
よろしい、認めよう。私も本音では変化を望んでいる。自分たちも「改革者」だと言うために共和党議員が持ち出した政策を、私は支持する。彼らによれば、医療過誤訴訟で認める損賠賠償支払い額に上限さえ設ければ、医療保険制度全体を救うことができる。カリフォルニア州とテキサス州という全米最大の2つの州が数年前にその通りのことを実施したが、何も良くならなかった。だが、誰がそんなことを気にするだろう。何より、この政策は聞こえがいい。
だから、米議会が夏休みになって地元の議員が帰ってきたら、医療保険改革はまだ時期尚早だと訴えよう。何せ、私たちがこの議論を始めてからまだ97年しか経っていない。1912年にセオドア・ルーズベルトが革新党の選挙公約に公的医療保険を掲げたのが最初だからだ。議会の公聴会もたった745回しか開かれていない(ちゃんと数えたわけではないが)。こんなものではとても足りない。何かをする前に、もっとこの問題を研究しよう。
たった今、私は「問題」と言ったか? 問題など何もない。私は現状維持が好きなのだ。