最新記事
野生生物

渡り鳥の渡り、実は無駄...? 長年の定説覆す新研究

Why Do Birds Migrate? Scientists Debunk Long-Held Assumption

2024年10月24日(木)14時00分
トム・ハワース

高性能センサーで解明された「省エネ」戦略の限界

研究チームはドイツ南部で野生のクロウタドリ120羽に高性能センサーを埋め込んだ。ドイツにはスペインやフランスに渡る個体と、年間を通してドイツにとどまる個体がいる。センサーを通しておよそ約100万地点からデータを収集でき、これまで知られていなかった渡りの生理的負担の解明につながった。

驚いたことに、クロウタドリは渡りの際に未知の省エネ戦略を採用していることが分かった。リネックによると、クロウタドリは出発の3週間前に「体内のサーモスタットを下げて」代謝を減らしていた。

ただし、そうした渡りの準備をしても、温かい場所で冬を過ごす間の全体的なエネルギーの節約にはつながっていなかった。

「予想外だった」と筆頭共著者でイェール大学生物多様性・地球変動センターのスコット・ヤンコは言う。「今回の研究で行ったエネルギーモデリングの予測によれば、気候が温暖な場所では保温のコストが大幅に減ることから、渡りによって間違いなくエネルギーの余剰が生じるはずった」

ビジネス
課題解決から社会変革へ──アデコ社長に聞いた、日本活性化への道
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

韓国・ポーランド大統領、ロシアへの北朝鮮軍派遣を非

ワールド

アングル:ハイテク分野の米中対立、誰が次期米大統領

ビジネス

アングル:最低賃金1500円に広がる戸惑い、各党が

ビジネス

現代自、第3四半期営業益は前年比7%減 SUVの保
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:米大統領選 イスラエルリスク
特集:米大統領選 イスラエルリスク
2024年10月29日号(10/22発売)

イスラエル支持でカマラ・ハリスが失う「イスラム教徒票」が大統領選の勝負を分ける

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ヨルダン・ラジワ皇太子妃が出産後初めて公の場へ...夫フセイン皇太子と仲良くサッカー観戦
  • 2
    秋の夜長に...「紫金山・アトラス彗星」が8万年ぶりに大接近、肉眼でも観測可能
  • 3
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」ものはどれ?
  • 4
    「国産メーカー優先」をやめたNTTドコモ...経済安全…
  • 5
    日本は働き手の「やる気」で世界最低...石破首相、「…
  • 6
    逃げ場はゼロ...ロシア軍の演習場を襲うウクライナ「…
  • 7
    大谷とジャッジを擁する最強同士が激突するワールド…
  • 8
    大破した車の写真も...FPVドローンから逃げるロシア…
  • 9
    ウクライナ軍、迫り来るロシア装甲車を「超至近距離…
  • 10
    北朝鮮がその気なら韓国も!? ロシア派兵に対抗してウ…
  • 1
    秋の夜長に...「紫金山・アトラス彗星」が8万年ぶりに大接近、肉眼でも観測可能
  • 2
    死亡リスクはロシア民族兵の4倍...ロシア軍に参加の北朝鮮兵による「ブリヤート特別大隊」を待つ激戦地
  • 3
    大破した車の写真も...FPVドローンから逃げるロシア兵の正面に「竜の歯」 夜間に何者かが設置か(クルスク州)
  • 4
    韓国著作権団体、ノーベル賞受賞の韓江に教科書掲載料…
  • 5
    逃げ場はゼロ...ロシア軍の演習場を襲うウクライナ「…
  • 6
    目撃された真っ白な「謎のキツネ」? 専門家も驚くそ…
  • 7
    ウクライナ兵捕虜を処刑し始めたロシア軍。怖がらせ…
  • 8
    ヨルダン・ラジワ皇太子妃が出産後初めて公の場へ...…
  • 9
    ロシア西部「弾薬庫」への攻撃で起きたのは、戦争が…
  • 10
    裁判沙汰になった300年前の沈没船、残骸発見→最新調…
  • 1
    ベッツが語る大谷翔平の素顔「ショウは普通の男」「自由がないのは気の毒」「野球は超人的」
  • 2
    「地球が作り得る最大のハリケーン」が間もなくフロリダ上陸、「避難しなければ死ぬ」レベル
  • 3
    秋の夜長に...「紫金山・アトラス彗星」が8万年ぶりに大接近、肉眼でも観測可能
  • 4
    死亡リスクはロシア民族兵の4倍...ロシア軍に参加の…
  • 5
    大破した車の写真も...FPVドローンから逃げるロシア…
  • 6
    ウクライナに供与したF16がまた墜落?活躍する姿はど…
  • 7
    漫画、アニメの「次」のコンテンツは中国もうらやむ…
  • 8
    エジプト「叫ぶ女性ミイラ」の謎解明...最新技術が明…
  • 9
    ウクライナ軍、ドローンに続く「新兵器」と期待する…
  • 10
    韓国著作権団体、ノーベル賞受賞の韓江に教科書掲載料…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中