子どもの「朝起きられない」は病気、でも薬をただ処方されたら要注意
1週間分の行動日誌ができたら、日々のパターンを見直す。森下医師が着目するのが、睡眠の規則性である。毎日の睡眠の時間帯がバラバラだと、一日中眠気が覚めなくなってしまうからだ。
早寝早起きではなくても、決まった時間に起きて寝るようにする。規則性がある睡眠が取れるようになったら、今度は無理のないペースで、睡眠の時間を早めていくようにする。
また、入浴や食事の時間の規則性や運動を取り入れる、行動に決まりごとを加えていくなど、上手に「だらだらする」ことが大切だ。
親が子どもに伝えるべき「2つの倫理」
森下医師は、親の思い込みや独りよがりの価値観を子どもに押しつるのはよくないとしながらも、伝えるべき倫理として、次の2つを挙げる。
「つらくても、やらなければいけないことがある」
「自立心と考える能力を育てる」
これらは伝え方を間違えると、真意が伝わらずに親子関係を損ねてしまう恐れがある。上から目線にならず、同じ目線で冷静に話すことが大切だ。
お互いに気持ちが落ち着いている時間や場所を選ぶ。そして、「人間はやるべきことがある」と伝える一方で、「今は焦らなくていい」と付け加えることで子どもが責められていると感じなくて済む。
すぐに生活が変わるわけではない。それでも、冷静に伝え続けることが大切だと森下医師は言う。
思春期に脳に刷り込まれたことは、一生残り、それが行動原理になっていくからだ。倫理観を芽吹かせるための種まきをしているという意識を持てば、親も焦らずにいられるようになる。
森下医師によると、親は「最終的にはよくなる」と信じることが大切であり、子どもは「信じてくれている、愛されている」と感じることが大切だ。人間は期待されるとその期待に添うように行動したくなる。
中学生の10人に1人がかかっていると言われる起立性調節障害は、決して他人ごとではない。本書は、その複雑な症状や原因を実例とともに紹介するもの。非常に分かりにくい病だからこそ、理解することの大切さを痛感させられる。
なお、起立性調節障害は主に子どもに見られるが、大人にも見られるという。そのため、朝起きられない、疲れやすい、立ちくらみが続くなどの場合は、神経内科の受診を考えてはどうだろう。
『新装版 うちの子が「朝、起きられない」にはワケがある
――親子で治す起立性調節障害』
森下克也 著
CCCメディアハウス
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