子どもの「朝起きられない」は病気、でも薬をただ処方されたら要注意
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<中学生の10人に1人、大人もかかるとされる「起立性調節障害」。「なまけている」と言ってしまいがちだが、親がまず正しく理解しなければならない。治療の第一歩は薬物療法だが、それだけでは効果がなかなか上がらないと、心療内科医の森下克也氏は言う>
2020年度に不登校と認定された小・中学生は19万人を超え、過去最多を記録した。新型コロナウイルス感染症の影響があるため、単純に比較はできないが、年々増加傾向にあるのは事実だ。
そんな不登校になった3~4割の子どもには、ある病気が隠れていると言われる。それが「起立性調節障害」だ。
中学生の10人に1人が発症すると言われる病気で、代表的な症状が「朝起きられない」というもの。病気には見えないため、周りから理解されにくい。長引くことも多く、本人、そして親にとって非常につらい病気である。
『新装版 うちの子が「朝、起きられない」にはワケがある――親子で治す起立性調節障害』(CCCメディアハウス)は、2012年に発売された同名書籍の新装版だ。前著を刊行してから積み上げてきた治療法や日常生活での対処法を紹介している。
著者は、20年以上起立性調節障害の診療に携わってきた心療内科医の森下克也氏。森下医師は、親や教師が起立性調節障害という病気について正しく認識することで、偏見から子どもを守り、正しいサポート体勢ができるようになると言う。
「なまけている」「仮病を使っている」ではなく病気
起立性調節障害は小学校高学年から中学生で発症することが多い。朝起きられなくなるという症状は、どう見ても、単なる朝寝坊だ。そんな子どもに、親はついつい「なまけている」ときつい言葉を投げつけてしまう。
しかし、子ども本人は、なまけているわけでもなければ、仮病を使っているわけでもない。ただ目が覚めず、身体が動かない。親もそんな状態の子どもに焦りや戸惑いを感じるようになっていく。
子どもがそんな状態になってしまったとき、親はどうしたらいいのだろうか。
森下医師は、まず状況を正しく理解することを勧める。起きられず、行きたいのに学校に行けない病気があると知ることが大切だ。
そして、子どもにとって大切なのは「そんな自分を受け入れてくれる家庭がある」と感じることだという。
起立性調節障害、3つの要因、4つの型
森下医師の説明によると、起立性調節障害の原因は自律神経のアンバランスにある。
思春期の急な身長の変化に神経の成長が追いつかず、血流や筋力をコントロールしている自律神経のネットワークと体格のバランスにズレが生じる。そのため、急に立ち上がるなどの姿勢の変化により、めまいや立ちくらみが起こる。
しかし、これらの身体の変化は誰にでも起こるはずだ。なぜ一部の子どもだけがその症状に悩むことになるのか。