最新記事

医療

子どもの「朝起きられない」は病気、でも薬をただ処方されたら要注意

2022年3月18日(金)10時40分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部
朝起きられない

Anna Cinaroglu-iStock.

<中学生の10人に1人、大人もかかるとされる「起立性調節障害」。「なまけている」と言ってしまいがちだが、親がまず正しく理解しなければならない。治療の第一歩は薬物療法だが、それだけでは効果がなかなか上がらないと、心療内科医の森下克也氏は言う>

2020年度に不登校と認定された小・中学生は19万人を超え、過去最多を記録した。新型コロナウイルス感染症の影響があるため、単純に比較はできないが、年々増加傾向にあるのは事実だ。

そんな不登校になった3~4割の子どもには、ある病気が隠れていると言われる。それが「起立性調節障害」だ。

中学生の10人に1人が発症すると言われる病気で、代表的な症状が「朝起きられない」というもの。病気には見えないため、周りから理解されにくい。長引くことも多く、本人、そして親にとって非常につらい病気である。

『新装版 うちの子が「朝、起きられない」にはワケがある――親子で治す起立性調節障害』(CCCメディアハウス)は、2012年に発売された同名書籍の新装版だ。前著を刊行してから積み上げてきた治療法や日常生活での対処法を紹介している。

著者は、20年以上起立性調節障害の診療に携わってきた心療内科医の森下克也氏。森下医師は、親や教師が起立性調節障害という病気について正しく認識することで、偏見から子どもを守り、正しいサポート体勢ができるようになると言う。

「なまけている」「仮病を使っている」ではなく病気

起立性調節障害は小学校高学年から中学生で発症することが多い。朝起きられなくなるという症状は、どう見ても、単なる朝寝坊だ。そんな子どもに、親はついつい「なまけている」ときつい言葉を投げつけてしまう。

しかし、子ども本人は、なまけているわけでもなければ、仮病を使っているわけでもない。ただ目が覚めず、身体が動かない。親もそんな状態の子どもに焦りや戸惑いを感じるようになっていく。

子どもがそんな状態になってしまったとき、親はどうしたらいいのだろうか。

森下医師は、まず状況を正しく理解することを勧める。起きられず、行きたいのに学校に行けない病気があると知ることが大切だ。

そして、子どもにとって大切なのは「そんな自分を受け入れてくれる家庭がある」と感じることだという。

起立性調節障害、3つの要因、4つの型

森下医師の説明によると、起立性調節障害の原因は自律神経のアンバランスにある。

思春期の急な身長の変化に神経の成長が追いつかず、血流や筋力をコントロールしている自律神経のネットワークと体格のバランスにズレが生じる。そのため、急に立ち上がるなどの姿勢の変化により、めまいや立ちくらみが起こる。

しかし、これらの身体の変化は誰にでも起こるはずだ。なぜ一部の子どもだけがその症状に悩むことになるのか。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

トランプ氏移民政策、支持2期目最低に 過半数「摘発

ビジネス

米国株式市場=上昇、S&P・ナスダック4日続伸 大

ワールド

シリア暫定大統領、28日にモスクワでプーチン氏と会

ワールド

インド、EUとのFTA巡る交渉終了 27日に公表=
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:高市 vs 中国
特集:高市 vs 中国
2026年2月 3日号(1/27発売)

台湾発言に手を緩めない習近平と静観のトランプ。激動の東アジアを生き抜く日本の戦略とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」と「フリース」に移った日
  • 2
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コングスベルグ社のNSMにも似ているが...
  • 3
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡張に新たな対抗手段
  • 4
    【銘柄】「住友金属鉱山」の株価が急上昇...銅の高騰…
  • 5
    「外国人価格」で日本社会が失うもの──インバウンド…
  • 6
    「20代は5.6万円のオートロック、今は木造3.95万円」…
  • 7
    中国、軍高官2人を重大な規律違反などで調査...人民…
  • 8
    私たちの体は「食べたもの」でできている...誰もが必…
  • 9
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 10
    40代からは「積立の考え方」を変えるべき理由──資産…
  • 1
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」と「フリース」に移った日
  • 2
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡張に新たな対抗手段
  • 3
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コングスベルグ社のNSMにも似ているが...
  • 4
    データが示す、中国の「絶望的な」人口動態...現実味…
  • 5
    ラブロフ、グリーンランドは‌デンマーク​の「自然な…
  • 6
    【銘柄】「古河機械金属」の株価が上昇中...中国のレ…
  • 7
    ニュージーランドの深海に棲む、300年以上生きている…
  • 8
    完全に「ホクロ」かと...医師も見逃した「皮膚がん」…
  • 9
    40代からは「積立の考え方」を変えるべき理由──資産…
  • 10
    麻薬中毒が「アメリカ文化」...グリーンランド人が投…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 5
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 6
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 7
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 8
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 9
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
  • 10
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中