最新記事

深圳イノベーション

コロナ後、深圳の次にくるメガシティはどこか──「プロトタイプシティ」対談から

2020年8月14日(金)07時40分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

高口 今や、デジタルトランスフォーメーション(ICTの浸透が人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させること、略称はDX)がバズワードになっているように、既存産業にいかにデジタル技術を導入するかは重要な課題となっています。

今の話で想起したのは、中国のユニコーン企業の一つ、Tuya Smartです。同社はIoT家電やスマートホーム製品を作る製造業を支援するソリューション企業です。今まで掃除機や炊飯器などを作っていた事業者が、Tuya Smartのサービスを導入すると、スマホから操作できるIoT製品を超高速で開発できるようになります。爆発的な勢いで顧客が増えているとのことで、同社広報によると、アマゾン・アレクサから動作できるスマートホーム機器の七〇%が、Tuya Smartを導入しているのだとか。

同社は浙江(ジヤージヤン)省杭州(ハンジヨウ)市にある企業ですが、設立後まもなく、深圳にオフィスを作っています。クライアント企業の多くは深圳の企業だったためです。中国のB級家電、B級ガジェットは、耐久性などではいまだにハテナマークのものが多いですが、ネット接続などの多機能化では国際的大企業にひけを取りません。

山形 ネクスト深圳を探すという意味では、そうした産業基盤がある地域は見るべきなのでしょう。インドも、以前はサービス産業誘致と言葉だけは立派なものの、実態はコールセンターが増えただけ。なんら発展性がないという、残念な時期もありました。最近では、成長したソフトウェア産業が製造業と結びついていく、新たな展開が始まっているようです。インド以外でいうと、ベトナムは製造業の集積に加え、ソフトウェアの発展も目覚ましい。エジプトも製造業が発展しつつあり、それがソフトウェア部門と連動しつつあると聞いています。

※抜粋前編「デジタル化は雇用を奪うのか、雇用を生むのか」はこちら


プロトタイプシティ
 ――深圳と世界的イノベーション
 高須正和・高口康太 編著
 KADOKAWA

(※画像をクリックするとアマゾンに飛びます)

2020081118issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
楽天ブックスに飛びます

2020年8月11日/18日号(8月4日発売)は「人生を変えた55冊」特集。「自粛」の夏休みは読書のチャンス。SFから古典、ビジネス書まで、11人が価値観を揺さぶられた5冊を紹介する。加藤シゲアキ/劉慈欣/ROLAND/エディー・ジョーンズ/壇蜜/ウスビ・サコ/中満泉ほか

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

中国の25年石炭需要、8年ぶり減少へ 来年は増加も

ワールド

GDP下方修正、景気の緩やかな回復という基調に変化

ビジネス

NTT、本社を日比谷に移転へ 2031年予定

ワールド

アングル:戦死・国外流出・出生数減、ウクライナ復興
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本時代劇の挑戦
特集:日本時代劇の挑戦
2025年12月 9日号(12/ 2発売)

『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』......世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』の大志

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 2
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 3
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...かつて偶然、撮影されていた「緊張の瞬間」
  • 4
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 5
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 6
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 7
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 8
    『ブレイキング・バッド』のスピンオフ映画『エルカ…
  • 9
    仕事が捗る「充電の選び方」──Anker Primeの充電器、…
  • 10
    ビジネスの成功だけでなく、他者への支援を...パート…
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺るがす「ブラックウィドウ」とは?
  • 4
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 5
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 6
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 7
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 8
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 9
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 10
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中