最新記事

健康

日記を書くと血圧が下がる? 健康づくりに役立つ感情日記とは何か

2018年7月13日(金)10時30分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

日記を書けば、自分の心の奥底にある感情に触れることになる。すると、抑えられていた感情が解放され、精神的ストレスが和らぐ。それによって自律神経系や内分泌系、さらに免疫系のバランスも回復して、病気や体調不良が改善される、というわけだ。

つまり、重要なのは「感情」だ。感情を抑えているとストレスが蓄積して病気になり、感情を外に出せばストレスが和らいで、それだけで回復することもあるのだという。「感情を抑圧していると早死にする」という調査報告もあるくらい、感情は体の健康にもつながっているのだ。

とはいえ、そう簡単に感情を解放できれば苦労はしない。欧米ではセラピーに通うことは一般的だが、日本ではなかなかハードルが高い。「日記」という方法は、日本人に向いているのかもしれない。

「1日15~20分、3~4日連続」三日坊主でも大丈夫?

そう言われても、日記は続けるのが難しい――そんな人に朗報がある。日記療法の草分けと言われるアメリカの研究者によれば、「1日15〜20分、3〜4日連続」でも変化は出るという。そう、三日坊主でもいいのだ。著者によれば、連日でなくてもOKで、週に1〜3日を目安にすればいいそうだ。

日記なので自分だけのために書けばよく、誤字など文章の完成度を気にする必要もない。つらかったことやストレスに感じていることなど、ネガティブなテーマを選ぶが、特に誰にも話したことのないような内容を書くと、より大きな効果が期待できるという。

ちなみに、どんなに筆が進んでも、1日に書くのは15〜20分程度に留め、30分以上は続けないほうがいい。一度にたくさんこなしすぎると、あとが続かなくなってしまうからだ。三日坊主でも効果はあるが、継続できれば、末長い心と体の健康づくりにつながるというわけだ。

高度な医療技術や、ずっと薬を服用することに比べれば、あまりにも魅力的な日記療法だが、言うまでもなく、これは現代医療に取って代わるものではない。万人に効果があるわけでもないし、既に病気や症状がある場合には、まずは科学的治療を受けることが原則だと、著者も述べている。

それでも、糖尿病や高血圧などの慢性疾患をはじめとして、薬だけでは改善できないことも多い。やはり、感情という目に見えない要因が影響しているからなのか。お金もかからず大きな副作用もない新しい健康法として、試してみる価値はあるかもしれない。

nikkibook-cover200.jpg
『日記を書くと血圧が下がる
 ――体と心が健康になる「感情日記」のつけ方』
 最上 悠 著
 CCCメディアハウス


ニューズウィーク日本版 独占取材カンボジア国際詐欺
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年4月29日号(4月22日発売)は「独占取材 カンボジア国際詐欺」特集。タイ・ミャンマーでの大摘発を経て焦点はカンボジアへ。政府と癒着した犯罪の巣窟に日本人の影

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

豊田織機の非公開化報道、トヨタ「一部出資含め様々な

ビジネス

中国への融資終了に具体的措置を、米財務長官がアジア

ビジネス

ベッセント長官、日韓との生産的な貿易協議を歓迎 米

ワールド

アングル:バングラ繊維産業、国内リサイクル能力向上
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
2025年4月29日号(4/22発売)

タイ・ミャンマーでの大摘発を経て焦点はカンボジアへ。政府と癒着した犯罪の巣窟に日本人の影

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは? いずれ中国共産党を脅かす可能性も
  • 3
    トランプ政権の悪評が直撃、各国がアメリカへの渡航勧告を強化
  • 4
    健康寿命は延ばせる...認知症「14のリスク要因」とは…
  • 5
    アメリカ鉄鋼産業の復活へ...鍵はトランプ関税ではな…
  • 6
    関税ショックのベトナムすらアメリカ寄りに...南シナ…
  • 7
    ロケット弾直撃で次々に爆発、ロシア軍ヘリ4機が「破…
  • 8
    ロシア武器庫が爆発、巨大な火の玉が吹き上がる...ロ…
  • 9
    ビザ取消1300人超──アメリカで留学生の「粛清」進む
  • 10
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?...「偽スーパーフード」に専門家が警鐘
  • 3
    「スケールが違う」天の川にそっくりな銀河、宇宙初期に発見される
  • 4
    【クイズ】「地球の肺」と呼ばれる場所はどこ?
  • 5
    女性職員を毎日「ランチに誘う」...90歳の男性ボラン…
  • 6
    教皇死去を喜ぶトランプ派議員「神の手が悪を打ち負…
  • 7
    『職場の「困った人」をうまく動かす心理術』は必ず…
  • 8
    自宅の天井から「謎の物体」が...「これは何?」と投…
  • 9
    「100歳まで食・酒を楽しもう」肝機能が復活! 脂肪…
  • 10
    トランプ政権はナチスと類似?――「独裁者はまず大学…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった...糖尿病を予防し、がんと闘う効果にも期待が
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 5
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 8
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 9
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中