最新記事
SDGsパートナー

プラスチック削減と森林再生を両立! ミナシアがホテルウィングチェーンで進める「ミライの木プロジェクト」とは

2024年11月13日(水)11時00分
ニューズウィーク日本版編集部SDGs室 ブランドストーリー

ホテルウィングチェーンも例外ではなく、宿泊客自身が施設内の専用スペースから必要なアメニティを取っていく「アメニティバイキング」を採用したり、アメニティをバイオマス素材に切り替えたりといった施策で、プラスチックの使用量削減に努めた。しかし、マーケティング課の青木美幸氏は、「思ったほどプラスチックの削減にはつながらなかった」と語る。

「もっと効果的にプラスチックを減らす方法はないか、もっと地球環境のためにできることはないかと考え、2023年からミライの木プロジェクトをスタートさせました。弊社では、持続可能な社会の実現に貢献するために、『環境に配慮したホテル運営』『地域連携強化』『未来を担う子どもをサポート』という目標を掲げていますが、ミライの木プロジェクトは『環境に配慮したホテル運営』を目指した活動の一つでもあります」

削減できたプラスチックの量だけ木を植える

同プロジェクトは、宿泊客にアメニティの持参を呼び掛け、削減されたプラスチックの量にあわせて植樹を実施する取り組みだ。宿泊者は環境配慮の意思を、間伐材で作られた木のスライス(ミライの木コイン)を提示することで表明できる。集まった枚数を実際のお金に換算し、植樹活動や環境保全への寄付などに役立てている。プロジェクトは、認定NPO法人環境リレーションズ研究所が手掛ける「Present Tree」の仕組みを利用して行っており、全国各地に「ミナシアの森」を作るのが同社の思い描く未来像だという。

「ミライの木プロジェクトの活動が全国に広がれば、たくさんの人の興味と足が森に集まるはずです。そして、その土地の関係人口が増えていけば、森だけでなく地域が丸ごと元気になります。森林の自然回復には100年かかると言われていますが、お客様の協力を得ながら長く活動を続けていきたいですね」(青木氏)

現在、アメニティバイキングを導入しているホテルチェーンは多数があるが、宿泊客と協力してプラスチックの削減に取り組み、それを植樹活動につなげているのは、国内でホテルウィングチェーンだけだ。

newsweekjp20241111070532-9962f085350da6fda20ee3b26c273677abc0feaf.jpg

「ミナシアの森」のある場所にはかつてカラマツが植えられていたという。その伐採跡地に地元植生の広葉樹を植えることは、災害対策になるだけでなく、多くの生き物たちを守ることにもつながる

森林のあり方に問題を抱えているのは日本だけではない。「世界森林白書2024」によれば、2010年から20年までの期間で、地球上からは年平均470万ヘクタールの森林が減少したという。

アマゾンの熱帯雨林で毎日のように行われている森林伐採、東南アジアやアフリカの不適切な焼畑農業、アメリカで頻発する森林火災。森林減少の理由はさまざまだが、この状況が続けば自然災害の増加だけでなく、大気汚染や食料生産の悪化につながる可能性もある。

森林の保全に必要なのは、適切に植林して伐採し、育った木を資源として活用するという循環システムを作ること。そして、企業や地域が一体となって循環システムを守ること。その観点でいえば、ミライの木プロジェクトのような取り組みは、今後世界中で必要とされるに違いない。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

午後3時のドルは156円前半、年末年始の円先安観も

ワールド

米・ウクライナ首脳会談、和平へ「かなり進展」 ドン

ビジネス

アングル:無人タクシー「災害時どうなる」、カリフォ

ワールド

中国軍、台湾周辺で「正義の使命」演習開始 実弾射撃
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 2
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と考える人が知らない事実
  • 3
    【銘柄】子会社が起訴された東京エレクトロン...それでも株価が下がらない理由と、1月に強い秘密
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 6
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」と…
  • 7
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 8
    「アニメである必要があった...」映画『この世界の片…
  • 9
    2026年、トランプは最大の政治的試練に直面する
  • 10
    アメリカで肥満は減ったのに、なぜ糖尿病は増えてい…
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 5
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 6
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 7
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 8
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 9
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 10
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「…
  • 6
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 7
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 10
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中