最新記事
SDGsパートナー

コーヒー製造の「もったいない」を食品ロス削減の啓発プログラムに活用...三本珈琲が繋ぐ未来へのバトン

2024年10月31日(木)11時00分
ニューズウィーク日本版編集部SDGs室 ブランドストーリー

newsweekjp20241030071944-e64732ebffbb1ca143ca22b5d10e1e12954c01b3.jpg

コーヒーの製造工程と発生する「もったいない」について

啓発活動によって広がるSDGs推進の輪

コーヒー製造時の副産物には、食品ロスの他にコーヒー生豆を海外から運ぶ際に使用する麻袋や、コーヒー焙煎時に発生するコーヒー豆の薄皮「シルバースキン」など植物性廃棄物も多く発生する。

これらを活用し、同社は3つの体験型啓発プログラムを開発した。一つは、製品には使えない「もったいない」コーヒー豆を使用し、オリジナルのブレンドコーヒーを作る体験。

もう一つは、コーヒー麻袋を地域の服飾専門学校に依頼してバックに加工し、絵の具でペイントしてオリジナルバックをつくる体験。

いずれも体験を通して「もったいない」を愛着の湧く「オリジナルの宝物」に変え、問題を「自分ごと化」するような試みだ。

そして、3つめはシルバースキンの有効活用だ。シルバースキンはもともと動物園の獣舎などで敷材として活用されるのが主な再利用用途だったが、シルバースキンを練りこんだパンを販売するなど食用利用を推進している。

食べ物を食べ物として工夫して使いきることの面白さ、大切さを伝えることが目的で、これは家庭でも応用できる場面が多く、将来世界的な食料不足が懸念されている中、このような工夫を一人ひとり が実践する小さな行動の積み重ねが食品ロス削減、食料確保には重要となる。

これらの体験を通して「明日からではなく今すぐに具体的に行動することの大切さ」「今、そばにあるものを工夫して使うことの楽しさ、大切さ」を、特に、未来を創る子どもや若者たちに伝えたいと三本珈琲は考えている。

またこのような活動を機に、コーヒーや食品と直接関係のない異業種企業との交流も生まれており、組織同士の相互啓発によりSDGs推進の輪がさらに大きく広がっているという。

「こうした連携こそが、持続可能な世界の実現への一歩だと実感しています。一人の人間ができることに限りがあるのと同じように、一企業で成しえることにも限界があります。一粒のコーヒーを起点として思いもよらないところまで広がる連携の輪で世界があっと驚く変革を起こす、それを未来の世代に正しく伝え、次の変革のバトンを渡していく、これが最も重要であると考えています」と、正木氏は話す。

三本珈琲は2030年までに「工場の生産活動で排出される廃棄物実質0」、「食品ロス削減量を2021年からの累計で300トン」を製造部門の数値目標とし、パートナーシップの力で達成することを目指している。

2015年9月、ニューヨーク・国連本部、国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」にはこう記されている。「人類と地球の未来は我々の手の中にある。そしてまた、それは未来の世代にたいまつを受け渡す今日の若い世代の手の中にもある。」

一粒のコーヒーが繋ぐ未来へのバトンは大きなたいまつとなり、未来の世代が歩む道を明るく照らしてくれることだろう。

20250408issue_cover150.png
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年4月8日号(4月1日発売)は「引きこもるアメリカ」特集。トランプ外交で見捨てられた欧州。プーチンの全面攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

訂正-米テキサス州のはしか感染20%増、さらに拡大

ワールド

米民主上院議員、トランプ氏に中国との通商関係など見

ワールド

対ウクライナ支援倍増へ、ロシア追加制裁も 欧州同盟

ワールド

ルペン氏に有罪判決、次期大統領選への出馬困難に 仏
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 2
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者が警鐘【最新研究】
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 5
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 6
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 7
    3500年前の粘土板の「くさび形文字」を解読...「意外…
  • 8
    メーガン妃のパスタ料理が賛否両論...「イタリアのお…
  • 9
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 10
    なぜ「猛毒の魚」を大量に...アメリカ先住民がトゲの…
  • 1
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き詰った「時代遅れ企業」の行く末は?【アニメで解説】
  • 2
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 3
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 4
    【独占】テスラ株急落で大口投資家が本誌に激白「取…
  • 5
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 6
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 7
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 8
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 9
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 10
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジ…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中