最新記事
SDGsパートナー

トマトジュースで生産も消費も持続可能に。生活クラブが進める新しい農業モデル

2024年10月9日(水)11時30分
ニューズウィーク日本版編集部SDGs室 ブランドストーリー
生活クラブの加工用トマト

完熟した加工用トマト 地面に這うように実がなるのが特徴。真っ赤に完熟したものを収穫する

<農業従事者の高齢化と労働力不足が進む中、生活クラブは組合員がトマトの定植や収穫に参加する「計画的労働参加」を通じて、持続可能な農業を支援し続けている>

世界を変えるには、ニュースになるような大規模なプロジェクトや商品だけでは不十分。日本企業のたとえ小さなSDGsであっても、それが広く伝われば、共感を生み、新たなアイデアにつながり、社会課題の解決に近づいていく──。この考えに基づいてニューズウィーク日本版は昨年に「SDGsアワード」を立ち上げ、今年で2年目を迎えました。その一環として、日本企業によるSDGsの取り組みを積極的に情報発信していきます。

◇ ◇ ◇

農業・林業・水産業などの第一次産業では、働き手の高齢化と労働力不足が深刻化している。農業を主な仕事としている人の数は、2005年から2020年の15年間で39%も減少した。

「トマト農家」も同様だ。トマトケチャップやトマトジュースの原料となる加工用トマトは、かつて、そのほとんどが国内で生産されていた。しかし、1980年代の輸入自由化で栽培面積が大幅に減少。さらに近年は、気候変動が追い打ちとなって、生産量は右肩下がりとなっている。

こうした課題の解決に挑んでいるのが、全国21の地域で宅配生協を展開する「生活クラブ」だ。

安心な食材を守るために、「消費者」を超えた農業支援

生活クラブは、1965年に設立された生活協同組合。「持続可能で、家族が安心して食べられるもの」を、長年にわたり生産者とともに追求してきた。今では、扱う品物のほとんどが生活クラブのオリジナル品だ。

なかでも「信州トマトジュース」は、持続可能な生産・消費を実現する成果のひとつだ。

加工用トマトは、実が鈴なりになる生食トマトとは違い、地を這うように実る。真っ赤に完熟してから収穫するが、その時期は真夏だ。炎天下のなか、中腰で延々と作業しなければならない。

そこで生活クラブは、組合員が苗植え・収穫に協力する「計画的労働参加」を1995年にスタートした。

生活クラブ組合員によるトマト収穫の様子

組合員の収穫の様子 地面にしゃがみこんだりケースを椅子代わりにしたりして、腰をかがめて収穫する

もともと、特定の時期に集中して作業が必要な農業は、コミュニティ内で労働力を融通し合うことで成り立ってきた。農家が減ってきた今、生活クラブという新たなコミュニティが人手を補う仕組みだ。2024年の加工用トマト収穫には、のべ114名が収穫に参加した。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

マスク氏、ホワイトハウス夕食会に出席 トランプ氏と

ビジネス

米エクソン、ルクオイルの海外資産買収を検討=関係筋

ワールド

トランプ氏、記者殺害でサウジ皇太子を擁護 F35戦

ビジネス

ワーナー、買収案1株30 ドルに上げ要求 パラマウ
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR動画撮影で「大失態」、遺跡を破壊する「衝撃映像」にSNS震撼
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    「ゲームそのまま...」実写版『ゼルダの伝説』の撮影風景がSNSで話題に、「再現度が高すぎる」とファン興奮
  • 4
    マイケル・J・フォックスが新著で初めて語る、40年目…
  • 5
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 6
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 7
    報じられなかった中国人の「美談」
  • 8
    「嘘つき」「極右」 嫌われる参政党が、それでも熱狂…
  • 9
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 10
    「日本人ファースト」「オーガニック右翼」というイ…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 4
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 5
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前…
  • 6
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 7
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 8
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 9
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 10
    「ゲームそのまま...」実写版『ゼルダの伝説』の撮影…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 6
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 7
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 10
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中